*ニュースにならない被災者の本音(その1)はこちら ある被災者が「ニュース」になるとき、そのニュースは彼らの日常的な素顔を置き去りにしたまま一人歩きすることが多い。ニュースというのは、被災者の体験で一番ドラマチックな部分だけを取り上げて報じることがほとんどだからだ。 宮城県名取市内の避難所で、「ニュース」になった被災者家族に出会った。避難所の近くには、津波をかぶって泥まみれになった小学校がある。この小学校に通う児童の家は、小学校より海側の地区に多い。津波が来たとき、小学校の児童はほぼ全員が校舎の3階に避難して無事だったが、仕事などで海側にいた親だけが死亡したり、行方不明になっているケースが複数ある。その日に訪れた避難所は、こうした家族が多いと教えられていた場所だった。 体育館に足を踏み入れ、受付にいた保育園の園長だという女性に話しかけると、「この避難所には親を亡くした子供が多い」と言う。そ