市民らとの対話集会に臨む原子放射線の影響に関する国連科学委員会(UNSCEAR)のギリアン・ハース前議長(前列中央)ら=7月21日、福島県いわき市(奥原慎平撮影)平成23年3月の東日本大震災とそれに伴う津波によって発生した東京電力福島第1原発事故は、放射線被曝(ひばく)の恐怖を生み出した。事故から11年余りが経過し科学的知見が蓄積しているにもかかわらず、いまなお被曝の影響を過大に評価する見方は福島にいわれなき差別や偏見も生み出し続けている。 ◇ 「報告書の結論は堅固なものだ。被曝に直接起因すると思われる健康被害は認められなかった。被曝による将来のがん発生率もとるに足らない水準にとどまるだろう」
福島を巡って、国連内の組織で異なるリスク評価が出ている。いま、ネット上で話題になった国連人権理事会の特別報告者による報告は「福島への子供の帰還について見直し」を求めるもの。 つまり、原発事故後の福島での被曝リスクは高いと言っている。 一方、2014年に「原子放射線の影響に関する国連科学委員会」は、福島での被ばくによるがんの増加は予想されないという報告を出している。被曝リスクは低いという評価だ。 なぜここまで見解が異なるのか? 国連広報センターに聞いてみると意外な答えが返ってきた。 国連の見解?福島高校では多くの生徒が勉学に励む(筆者撮影)国連広報センターのプレス担当者は質問に対し、前提から知ってほしいと強調する。 《まず大前提として、国連は〜〜という言葉ほどあいまいなものはないということとお伝えしたいと思います。 押さえていただきたいのは、福島に限らず、国連内部ではある委員会がAと決議を出
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