グラタンを作ろうと冷蔵庫を開けたらバターが切れていた。近所のスーパーを3軒はしごしたが、ない、ない、ない! あるのはホテル仕様の高級商品だけ。聞けば全国的に「バター不足」という。なぜバターは消えたのか。そこから見えてくるのはなにか。【小国綾子】 「一足違いで売り切れました」。東京都練馬区のスーパー「アキダイ」で秋葉弘道社長は申し訳なさそうに言う。「今月初めに国産メーカーのバターを入荷したが10日ともたず売れてしまいました。不足は深刻で月1回の入荷が精いっぱい。11月中の再入荷はもう無理です」。バターの棚は空っぽだ。 クリスマスを前に洋菓子業界も深刻だ。「安いバターは普段の倍、高級バターも3割くらい値上がりしている」と全日本洋菓子工業会の副理事長で、東京都千代田区の老舗洋菓子店「ゴンドラ」の細内進社長。「うちの店は春先から不足を予想し、地下の大型冷蔵庫に在庫を確保したが、業界ではマーガリ