福岡市の中心部にほど近く、住宅が立ち並ぶ一角。 九州随一の繁華街・天神まで歩いていけるほどの距離にあるマンションで、57歳の男は80代の母親と2人で暮らしていた。 定職には就いていなかった。 生活資金の柱は、母親の年金。 時折、離れた場所で暮らす兄から援助してもらっていたが、その兄が昨年末、亡くなった。 日々のやりくりに行き詰まり、相談するあてもない。 「母も私も、おなかがすいていた」 男が目をつけたのが、ギョーザの無人販売店だった。 客がいない深夜に、店に忍び込む。 金を払ったふりをして、冷凍ギョーザを盗んだ。 二つの店から盗んでいたが、そのうちの一つは男の自宅から300メートルほど離れた場所にある。 店によると、当初は犯行時に手袋をしていたが、そのうちそれもなくなった。 福岡県警は被害店に張り込み、5月12日未明、窃盗容疑で現行犯逮捕した。 検察によると、男の所持金は当時33円だったと