ロシアに科されている経済制裁は「経済兵器」だ──インド中央銀行総裁を務めた経歴を持つ、米シカゴ大学経営大学院教授のラグラム・ラジャンが警鐘を鳴らしている。 制裁に即効性はないが痛みが伴う 戦争は恐ろしいものだ。たとえ、それがどのようなものであれ。それでもなお、ウクライナの民間人が殺され、故郷を追われていという背景を鑑み、ロシアによるウクライナへの理不尽な攻撃には、間違いなく異議申し立てをする必要があった。各国政府は、ウクライナへの軍事兵器の供給に加え、ロシアに対して「経済兵器」を投入している。ロシアはその軍事力に比べると経済的には小国だが、軍事兵器を使用する範囲や標的とする地域を広めて攻撃する可能性はなおあり、これは世界が負うべきリスクだ。 ロシアの無差別爆撃に比べれば、経済兵器は人を殺す速さは遅く、目立った破壊も、与えられる恐怖も同等ではないだろう。とはいえ、ロシアに対して投入された前例