◇政策のデメリット含め語って 大阪府知事と大阪市長のダブル選(11月27日に投開票)で大阪市民が市長に選んだのは、「市長なんかいらない」「市役所をつぶして一から作り直す」と訴え、府知事から転身した橋下徹氏(42)だった。大阪市などを解体して都と特別自治区に再編する「大阪都構想」を掲げた橋下氏は、行政改革の断行や経済再生など、有権者の心をくすぐる訴えで75万票(得票率59%)を集めた。その選挙戦術のうまさには脱帽したが、一方で都合の良い部分だけを拡大して見せる政治手法には違和感を覚えた。 私は、告示前から約4週間、橋下氏を追いかけた。街頭では連日、有権者に交じって演説を聞き、商店街での練り歩きにも同行した。 ◇巧みな弁舌で聴衆を感化 橋下氏の演説手法は明快だ。相手候補や既成政党を、改革を阻害する「抵抗勢力」として一刀両断。「このままでは大阪はじり貧だ」「5年、10年後には給料が3割下がる」と