<追跡> 児童虐待の深刻化を受け、親権制度を見直す改正民法が27日に成立した。虐待する父母の親権を最長2年間停止できる制度を新設するなど、現場が長年求めてきた内容が盛り込まれた。改正で何が変わり、狙い通り機能するのか。期待と課題を探った。【野倉恵、石川淳一】 ◇申請、ハードル下げる 西日本の刑務所に服役中の30代男性は無銭飲食などで受刑を繰り返してきた。軽い知的障害があり、幼いころ母親が蒸発、小学1年で児童養護施設に保護された。10代半ば、無免許運転のバイク事故で頭の骨を折って一時意識不明となり、このころ暴力団員の父親が10年以上の服役から出所。事故保険金を受け取り男性を引き取った。男性は事故の後遺症で障害が重くなっていたが、十分世話を受けられないまま、父親は犯罪に手を染め再び服役。その後、男性は無賃乗車で警察に保護され、施設長が迎えに駆けつけた。 30歳を過ぎても行き場のない青年を支援す