<後に問題が発覚する経営者を見抜く方法はないのか。ゴーンは権力を独り占めし、次世代のリーダーを育てなかった> 「超大物」「巨人」「レジェンド」──日産自動車のカルロス・ゴーン前会長は、そんな形容がぴったりの人物だった。1999年以来、日産の経営を指揮して業績のV字回復を成し遂げ、今では、日産、仏ルノー、三菱自動車の「3社連合」を束ねる存在になっていた。 そのカリスマ経営者が11月19日、有価証券報告書に自らの役員報酬を過少に記載した疑いで逮捕された。突然のニュースに多くの人は衝撃を受けた。 フォーチュン・グローバル500に名を連ねる2つの企業のトップを同時に務めた史上初の経営者で、半生が漫画にまでなった人物が、どうして不名誉な容疑を掛けられるに至ったのか。なぜ、世界を股に掛けていた男が自らの報酬額を偽らなくてはならなかったのか。 メディアや評論家が関心を示すのは、容疑を裏付ける証拠があるの