「法律成立の6日後に現金が振り込まれたわ」 3月17日、アメリカ・中西部ミズーリ州で夫と3人の子どもと暮らすオリビアさんの銀行口座に、7000ドル=約75万円が政府から振り込まれた。景気が上向くさなかに全米の8割以上の世帯を対象に行われた現金給付。巨額の財政出動で労働者層を支えようという“バイデノミクス”の象徴的な政策だ。アメリカ経済といえば、国家の介入が少ない市場原理主義の印象が強いが、バイデン政権は大きくかじを切る。4月29日で政権発足から100日。大統領が描く国家像が見えてきた。(ワシントン支局記者 吉武洋輔) アメリカ経済は回復ペースが加速している。 個人消費の動向を示す3月の小売業の売上高は、前月と比べて9.8%の大幅な増加を記録した。 新型コロナウイルスの感染者が世界最多となり、2020年は74年ぶりのマイナス水準に落ち込んだアメリカ経済だが、ことしのGDPの伸び率はプラス6.