ブックマーク / www.nli-research.co.jp (6)

  • 人口動態データ解説-合計特殊出生率誤用による少子化の加速に歯止めを-自治体間高低評価はなぜ禁忌か

    ■要旨 「わが県はまだまだ出生率が高いほうだ。だから少子化対策では遅れていないのだ」 「わが市は出生率が下がっていないので、出生率が下がったあの市よりも少子化対策については優位にある」 合計特殊出生率(Total Fertility Rate、以下TFRと表記)を用いた上記のような議論は、自治体政策において当たり前のように指摘されてきた議論である。しかしこれらは全て、TFRについて「べからず」的使用方法である。 これらはTFRの計算式がよく理解されていないことから発生する、出生率比較トラップにはまった議論といえる。 レポートにてその理由を詳説したい。 TFRの誤用が特にそのエリアにとって大きな影響がないならば看過することもできるが、来は少子化(=子どもの数の減少)対策をより強化するべきはずの自治体において「TFR高低を根拠とした少子化政策の成否」が語られる場面が多発しており、このままで

    人口動態データ解説-合計特殊出生率誤用による少子化の加速に歯止めを-自治体間高低評価はなぜ禁忌か
  • 感染症対策はなぜ見落とされてきたのか-保健所を中心とした公衆衛生の歴史を振り返る

    ■要旨 新型コロナウイルスの感染が再拡大する中、感染症に対応した医療制度改革の必要性が論じられている。中でも、感染症対策の最前線を担った保健所の機能強化が争点となっており、感染症対策に脆弱な医療制度の課題が浮き彫りとなっている。 では、なぜ感染症対策に対して脆弱なのだろうか。言い換えると、なぜ感染症対策は見落とされてきたのだろうか。歴史を振り返ると、保健所を中心とした公衆衛生システムを整備する際、日は結核対策を重視してきた。このため、どこかのタイミングで、あるいは何らかの理由で感染症対策が軽視されるようになったと言える。 そこで、レポートでは感染症対策を含めた公衆衛生の歴史を振り返ることで、感染症対策が見落とされてきた背景を探る。具体的には、一部で指摘されている行政改革による影響だけでなく、疾病構造の変化、公的医療保険の拡大、国民の意識変容、地方分権の影響など様々な要因を挙げる。その上

    感染症対策はなぜ見落とされてきたのか-保健所を中心とした公衆衛生の歴史を振り返る
  • https://www.nli-research.co.jp/report/detail/id=60497 2019年01月08日 グローバル化と福祉国家の関係を考える-ベルリンの壁崩壊から30年の節目の年に 保険研究部 准主任研究員・ヘルスケアリサーチセンター兼任 三原 岳

    平成最後の年となる2019年が始まった。5月には元号が変わり、新しい天皇が即位する歴史的な年になる。そして、2019年は1989年に「ベルリンの壁」が崩壊して30年の節目でもある。冷戦の終焉を印象付けた事件から30年が経過する中、世界経済のグローバル化が急速に進み、我々の生活は大きな影響を受けた。稿は節目の年に際して「グローバル化と福祉国家」という切り口で、社会保障制度の在り方を簡潔に考察したい。 「民主主義の成長発展は、その伴侶ともいえる経済的自由主義の成長とあいまって、過去400年の政治をマクロの視点で見た場合のもっとも注目すべき現象となっている」――。アメリカ政治学者、フランシス・フクヤマは1992年の著書『歴史の終わり』で、民主主義と自由主義経済の勝利が確定したとして、その現象を「歴史の終わり」と評した。確かに天安門事件、ベルリンの壁崩壊など30年前に起きた社会主義国の政治変動

    https://www.nli-research.co.jp/report/detail/id=60497 2019年01月08日 グローバル化と福祉国家の関係を考える-ベルリンの壁崩壊から30年の節目の年に 保険研究部 准主任研究員・ヘルスケアリサーチセンター兼任 三原 岳
  • アベノミクスで苦しむ氷河期世代~内定率上昇・雇用者増の一方、30代は正規雇用者が減少。就職期が生む雇用環境の格差。

    アベノミクスによる企業収益の拡大で雇用環境が改善している。厳しい就職活動を強いられてきた学生の状況も緩和され、今春卒業予定の学生の就職内定率はリーマン・ショック前の水準に戻りつつある。与党は、昨年末の衆院選で失業率の低下や雇用者増を示し、経済政策の成果として雇用環境の改善を強調した。しかし、野党が指摘したように、アベノミクスは大企業と中小・零細企業、正規雇用者と非正規雇用者といった格差も生んでいる。 格差は企業規模や雇用形態だけでなく、年代にもあらわれている。雇用者の状況を年代別に見ると、実は30歳前後の年代ではアベノミクスで非常に厳しい状況にあることが分かる。 第二次安倍政権発足直後と直近の雇用者数の増減を見ると、雇用者は100万人以上増えているが、増えているのは非正規雇用者であり、むしろ正規雇用者は減っている(図1)。年代別に見ると、25~34歳以外では非正規雇用者の増加により雇用者全

    アベノミクスで苦しむ氷河期世代~内定率上昇・雇用者増の一方、30代は正規雇用者が減少。就職期が生む雇用環境の格差。
  • 「祝日過多社会」の警鐘-主体的に休日とる「雇用環境」「ワークスタイル」に欠ける日本社会

    先日、8月11日を「山の日」とする祝日法改正案が参議院会議で可決、成立し、2016年から実施される。この記事を読んで、祝日の意義とその数について考えてみた。 祝日については、「国民の祝日に関する法律」(昭和23年法律第178号)に規定されており、第1条に『国民こぞって祝い、感謝し、又は記念する日を定め、これを「国民の祝日」と名づける』と書かれている。これまでは、1月1日の「元日」に始まり、12月23日の「天皇誕生日」まで年間15日の祝日があった。 今回、祝日に加えられた「山の日」は、『山に親しむ機会を得て、山の恩恵に感謝する』という目的で制定された。「海の日」は『海の恩恵に感謝するとともに、海洋国日の繁栄を願う』とあり、「みどりの日」は『自然に親しむとともにその恩恵に感謝し、豊かな心をはぐくむ』とある。いずれの日も自然に恵まれた国土に暮らすことに感謝の念を表わす祝日だが、国民の価値観が

    「祝日過多社会」の警鐘-主体的に休日とる「雇用環境」「ワークスタイル」に欠ける日本社会
  • O157食中毒に対する保険支払

    新聞報道によれば、札幌市周辺で白菜の浅漬けを原因とする腸管出血性大腸菌O157による集団中毒が発生し、死者が7人に達したとのことである。心からご冥福をお祈りしたい。 夏季には腸管出血性大腸菌O157による中毒が多く発生するが、腸管出血性大腸菌感染症は、感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律(従来の伝染病予防法、性病予防法、後天性免疫不全症候群の予防に関する法律の3法を統合し、1999年4月に施行された。以下、「感染症予防法」)に基づく3類感染症として、患者および無症状病原体保有者について、診断した全ての医師に保健所などへの届出が義務付けられている。 腸管出血性大腸菌O157をはじめとした感染症で入院した場合や、亡くなった場合の保険会社による保障はつぎのとおりとなっている。 生保会社の医療保険や入院特約では、感染症による入院も通常保障の対象となり、万一亡くなった場合には、終

    O157食中毒に対する保険支払
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