「米国は賃金も物価も順調に上昇している。日本はなかなか十分に上がってこない」。日銀の黒田東彦総裁は15日、金融政策決定会合後の記者会見で力なく答えた。今週、米国は利上げし、欧州は年内の量的緩和終了を決めた。しかし日本の物価は鈍く、目標の2%が展望できず緩和を続行せざるを得ない。日銀の金融政策の正常化はほど遠く、米欧にとりのこされている。米連邦準備理事会(FRB)は13日、1.75~2.00%へ
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政府が23日示した経済財政に関する中長期試算では、消費者物価上昇率の見通しを下方修正し、2%に達する時期を平成33年度に後ずれさせた。だが、他の経済指標は改善しており、政府内からは上昇率が2%に達しなくてもデフレ脱却の判断は可能だとの声が上がる。安倍晋三首相にとっては3選を目指す9月の自民党総裁選の追い風にもなるだけに、早期に脱却を宣言するのではとの観測も出始めている。(山口暢彦) 「デフレ脱却の判断については、物価の状況に加え再び後戻りしないという持続可能性を確認することが必要だ」。茂木敏充経済再生担当相は23日の記者会見でこう述べ、複数の指標による総合的な考慮の必要性を強調した。 政府は今回の試算で、消費税増税の影響を除く消費者物価上昇率を30年度1・1%▽31年度1・6%▽32年度1・9%▽33年度2・0%-とした。昨夏の試算では32年度に2・0%へ達するとみていた。足元の物価低迷な
12月26日、麻生太郎財務相(写真)は閣議後会見で、「デフレという経済現象は人災による部分が大きい。政府や日銀の対応が適切ではなかったが故だ」と述べ、旧民主党による政権運営を批判した。写真は都内で昨年1月撮影(2017年 ロイター/Toru Hanai) [東京 26日 ロイター] - 麻生太郎財務相は26日の閣議後会見で、「デフレという経済現象は人災による部分が大きい。政府や日銀の対応が適切ではなかったが故だ」と述べ、旧民主党による政権運営を批判した。一方、政権奪還以降の5年間に関しては、最重要課題のデフレ脱却に向けて「少しずつだが確実にそういう流れが進みつつある」と語った。
また夢で終わるのかね。サッカーW杯16強突破ではなく、日本のデフレ脱出の話である。4月の家計調査は、それほど重苦しい結果だった。駆け込みの反動で消費が落ちたことを気にする必要はないが、今後の消費を占う実質「実収入」の季節調整済指数が前月から-3.6も低下したのは重症だ。低下幅は東日本大震災時の2011年3月と変わらないほど大きく、水準はこの時の97.0を大きく下回る94.7にまで落ちた。こんなに「実収入」が落ちてしまって、消費が反動減を取り戻せるのか、夢に酔えぬほど数字は厳しい。 (図1) ……… 消費は収入次第というのは誰でも分かる理屈で、勤労者世帯の実収入と消費支出がパラレルに動いていることは一目瞭然だろう。2013年春には、雇用の底入れで消費が上ブレしたが、収入増が追いかけ、消費の反動減も出て、元の割合に概ね戻っている。つまり、消費増税の駆け込みと反動で消費の基調が見えない中で、収入
世の中を良くするのに役立たないことで定評のある経済学だが、長年の懸案に答えが出ているものがある。それは「貧しい国をいかに豊かにするか」である。答えは、輸出型の外資の導入だ。特区を作って安い労働力を提供し、輸出を伸ばすとともに、増えた所得が内需を拡げ、経済を成長させる。もはや常識と化したこの手法だが、まじめに考えると、なぜ成功するのか明らかでなかったりする。 なぜ「輸出」なのか。成長の源は設備投資にあり、それには需要が決定的に重要という理解があれば、何の疑問もないが、経済学の教科書から一歩も出ずに、「需要の有無と関係なく、低賃金に加え、資本さえ用意できれば経済は成長するはず」と考えると、見えるものもみえなくなってしまう。まあ、理由はよく分からなくても、効く薬は用いられるということなのだがね。 昨日の日経には、「対内直接投資が北朝鮮より少なく情けない」という話が出てくるが、日本に低賃金はないし
今日の日経の一面論説「消費増税・先送り若い世代にツケ」は、今の世論をよく表したものに過ぎないから、実さんを、特に批判しようとは思わない。しかし、少し前の常識は、インフレで困るのは、資産や年金を持つ高齢者で、デフレで困るのは労働力しかもたない若者というものだった。「若者のために増税・緊縮を」は、最近始まった異色の政治思想だ。 「言葉」の起源を調べるのは、政治学の基本だから、誰がこれを広めたか、調べてみると面白いと思うね。高齢者と若者を分割統治し、経済運営の拙さに矛先を向けさせないのは、支配のための基本的な技法だが、されてる側の人間には、なかなか自覚できないものだ。自分を超える観点は持ちにくいからね。民族対立を利用しての植民地支配は、高校の世界史でも習うと思うが、誰も自分のこととは思わないのだよ。 (今日の日経) 計画白紙で1兆円要請。消費増税・先送り若い世代にツケ・実哲也。国債協力銀行に奥田
内閣府が経済財政の中長期試算をし、基礎的財政収支の2020年度黒字化には、消費税6%分不足という結果を出したが、「だからどうした」というところだ。イタリアは、基礎収支が黒字でも危機に陥った。それは目標にしても意味がないという証明ではないか。 財政再建は国際公約とは言っても、日本が勝手に宣言しただけのもので、何かを得るための引き換え条件でもない。目標がなければ、政治的な財政規律が緩むというだけのことで、経済的にも、国際的にも意味がないものに拘る必要はなかろう。 むしろ、今回の試算で注目したいのは、震災で巨額の財政出動をしたつもりになっているが、2010年度から2011年度への基礎収支の悪化はわずかであり、2012年度、2013年度は、消費増税がないにも関わらず、改善が急だということである。これは復興費が抜け落ちるためだろう。 プロがこれを見れば、これほどの財政のデフレ・インパクトがあって、日
なぜ日本だけ、これほど長くデフレが続くのだろうか? 日銀の金融緩和が足りないからだろうか? 池尾氏も指摘しているように、経済規模の比較において日銀のバランスシートは依然として世界最大である。つまり絶対的な貨幣供給量では、日銀はつい最近まで、世界の主要国の中で圧倒的な金融緩和を実施しており、それが世界同時金融危機で、欧米の中央銀行が日銀に多少追いついてきたというだけの話である。筆者は、日本がデフレ気味なのは、金融市場が完全にグローバル化している中で、日本の経済の潜在成長率が世界の主要国に比べて低いことが最大の要因だと考えている。このことを簡単に説明しよう。 ヒト・モノ・カネの中でカネが一番グローバル化されている。今では個人投資家でも世界中の市場に投資できる。そしてヒトが一番グローバル化されていない。ヒトはモノやカネほど簡単に国境を超えられないから、成長率の高い国と、低い国が生まれる。ヒトもモ
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