筆者も参加した、ジブリからゲーム実況までを扱った映像論集『ビジュアル・コミュニケーション 動画時代の文化批評』(南雲堂)刊行にあたり共著者全員により、「映像/視覚文化の現在」をテーマに様々な角度から共同討議を行いました。 ■認知科学や神経科学的知見の映像研究への応用について冨塚 監督個人の作家性から集団制作へ、という流れで言うと最近たまたま観た『ベイマックス』は象徴的な一本だったように思います。 共同監督、共同脚本で制作された本作は、戦隊ヒーローものやバディものといったジャンルに関し、「各ジャンルにはこんな約束事があるから、こう展開すればウケる」というノウハウを網羅した優秀な人材が大勢集まって、意見を突き合わせながら作っているような印象があり、とりたてて穴のない秀作であるのは間違いないものの――どうしてもこの作品が私は好きになれませんでした。 というのも今回、自分の論考や巻末のリストで紹介