20世紀文学史上最大の問題作。原著刊行から半世紀をへてようやくその全貌を日本語で読めるようになった。その魅力と奥深さとは──。 長いこと待ち望まれていたモーリス・ブランショの『終わりなき対話』の邦訳がついに刊行されることになった。一九五〇年代から一九六〇年代にかけて書かれた文章のうち、文学の分野のものはすでに『来るべき書物』にまとめられていたが、思想的な文章はこの『終わりなき対話』に集められていた。 今回刊行される第一部「複数性の言葉」では、レヴィナスの『全体性と無限』を手掛かりに、他者との関係を考察しようとする。ブランショはすでに『文学空間』の頃から、レヴィナスの提起した「絶対的な他者」との関係の問題を、「中性的なもの」という観点から考察してきた。この他者との出会いという哲学的にも重要なテーマについてブランショは本書で、人間と人間が出会ったときに可能となるいくつかの道筋を提示しながら考え
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