リベラル再生宣言 [著]マーク・リラ いまの日本では、「私はリベラル派だ」と公言する人をあまり見かけなくなった。保守が政治的価値の中心に居座り、リベラルは保守との親近性を強調することによって命脈を保っている感さえある。 リベラルの本家本元、アメリカでも、「リベラル」はいまや負価値をもつ言葉になりつつあるという。このような時代状況の中で書かれた本書は、反時代の書といっても過言ではない。 とはいえ、本書は甘口のリベラル擁護の本ではない。リベラルの価値や信条を共有している点では著者はリベラル派であるが、その彼が、リベラル派知識人やリベラル政党である民主党の政治姿勢に異議を申し立てるのである。 リベラル派は「個人的なことは政治的なこと」だと言い放つ。人々は個人としてはもちろん、人種、性別、文化などの面においても違いをもつ。いわゆる差異の政治、アイデンティティー・ポリティクスはこれらの差異を政治運動