記事:じんぶん堂企画室 90年代、スペインのポルトボーで、浅田彰さん(左)と柄谷行人さん=柄谷さん提供 書籍情報はこちら ――1980年代後半から90年代の柄谷さんの活動についてお聞きしていきます。ソ連の崩壊や阪神淡路大震災をはじめ国内外で歴史的な動乱期ですが、柄谷さんの周囲でも雑誌を立ち上げたり、湾岸戦争反対の署名の運動をしたりと、様々な出来事がめまぐるしく起きている時期です。盟友だった作家の中上健次が亡くなったのも92年でした。 柄谷 いまから思うと、それまでやってきたことに始末をつけていった時期でした。一口でいうと、文学から決別する方向に向かったのです。 一方で、この時期は、まったく新しいことを始めたときでもあった。それには時代の変化が大きかったと思う。冷戦構造の崩壊、湾岸戦争勃発などが重なったときに、それを実感しました。それで行動的になった、ともといえますね。 ――85年から88年