自分の持っている一定限の情報を、どんな順番で、どんなタイミングで渡していけば、のぞましい展開に駆動することができるか。web拍手でどなたかがおっしゃっていたように、ダムにたとえるのもいい。いわく、プレイヤーという羽根車が受け止められる水量には限度があるのだから、急激に大量の情報を与えてもそのまま回りはしないし、あふれてとりこぼされる事項ができやすい、等々。あるいは、押井守先生が『TOKYO WAR―機動警察パトレイバー〈前編〉』にいわく、 「事故?」 「かもしれないが、それが証明されない限り何者かの意思が介在したと考える方が自然だ。現にその場を離脱したF−16は現在に至るも帰還していない」 しのぶが口にする疑問を新たな事実の提示によって否定してゆく荒川のやり口は、情報を独占する者がそれを利して人を説得する典型的な方法だった。 聞く者を納得させつつ、それでいて必要以上の情報は決して与えない。