官の改革の最重要テーマは国民との信頼関係をいかに取り戻すかにある。国民全体の利益に沿うよう規律を高めるというムチだけでなく、公務員の意欲を高める工夫も必要である。従来の人事ルールが崩れる中、人事制度をオープンで競争促進型なものに転換すべきだ。 バブル崩壊以後、「失われた15年」と称される大調整期を経て、日本の経済システムは大きく変容した。民の変化だけでなく、55年体制の崩壊、小選挙区制導入による族議員、派閥の弱体化など政治も大転換した。 一方、90年代以降、不良債権、BSE(牛海綿状脳症)、薬害エイズなどの問題に象徴される政府の失敗や責任回避の先送り策が白日の下にさらされ、霞が関の中央官僚に対する国民の信頼が大きく損なわれ、官僚バッシングが強まった。 したがって、官の改革の最重要テーマは、失われた国民との信頼関係をいかに取り戻すかになるはずだった。「官から民へ」「小さな政府」を掲げた小泉政