ブックマーク / blog.goo.ne.jp/f-ryota (2)

  • 国家論の書き方 - 仮想算術の世界

    萱野稔人氏の『国家とはなにか』を読んだ。このが出たのはもう二年前で、すでにあちこちで「原理的」な国家論として紹介されている。確かに力作であることはまちがいないし、評判がいいのも無理はない。だが、同時に僕には、その原理性には何らかの罠があるのではないかという疑いが棄てきれない。結論からいえば、「国家とはなにか」という問いの立て方は一見してラジカルではあるものの、それはあくまで国家論のひとつの書き方であり、必ずしも最善の選択ではない、というのが僕の意見だ。さっき読み終えたばかりなので多少即興的な感想になってしまうが、ざっとその意見のあらましを述べておこう。 そもそも20世紀の後半以降、特に最後の四半世紀以降、国家のイメージは大西洋を挟んでふたつに分裂していた。ひとつはアメリカの、もうひとつはヨーロッパのイメージである。これは抽象的な話ではない。とくに今世紀に入ってからは、そういう国家イメー

  • 『SAW』と密室的想像力 - 仮想算術の世界

    最近のアメリカのドラマは密室のテーマに憑かれている。たとえば、『24』が時間的な密室だとすると、『LOST』の島は空間的な密室であり、また記憶の密室だとも言えるだろう。映画でいうと、僕の知る限り、『SAW』シリーズの密室のイメージがやはり秀逸だ。実は『3』はまだ見ていないのでトータルな意見は言えないのだが、とりあえず『2』の設定はたいへん興味深い。 僕の考えでは、『2』の良いところは、密室の世界をその外の世界の論理からうまく切り離しているところにある。密室というのは現実と地続きなのではなく、かといってまったく別物なのでもなく、いわば現実を特殊なプレイヤーで再生したようなものなのだ。だから、現実世界の通常の論理だけでは、犯行現場=密室に行き着くことはできない。これは実は『1』も同じなのだが、『1』には演出上いくつか問題があって、ところどころ現実と地続きになっているように思えるシーンがある。

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