「IT革命はこれからだ」という題名の原稿を今書いたら、よほどの権威か政治力がある執筆者でない限り、日本のメディアには掲載されないのではないか。一時期あれほど頻繁に新聞や雑誌に載っていた「IT革命」なる言葉は死語同然である。ところが、「IT革命が社会に与える真に革命的な影響はいよいよこれから」と堂々と主張している人物がいる。 それは、社会生態学者のピーター・ドラッカー氏である。同氏は2002年に出版した『ネクスト・ソサエティ』(ダイヤモンド社、上田惇生訳)にこう記した。「IT革命のネクスト・ソサエティに与える真に革命的な影響は、いよいよこれからである」。ネクスト・ソサエティとは、これからやってくる異質の社会を指す。 『ネクスト・ソサエティ』については5年ほど前に短いコラムを沢山書いた(関連記事参照)。とはいえ、「またドラッカー、しかもネクスト・ソサエティとは。もう過去の人でしょう」と言わない