「大敗だ」-。平成26年度予算案の編成作業を終えた財務省幹部はこう言って唇をかんだ。経済成長とともに財政健全化への道筋を描くことをテーマとした今回の予算編成だったが、景気回復に伴う税収増を背景に、与党からの“歳出増額”圧力に押し切られた。診療報酬改定での“秘策”も… 今回の予算攻防の天王山となったのが、2年に一度の診療報酬改定だ。 11月15日、首相官邸で開かれた経済財政諮問会議。あいさつに立った安倍晋三首相は「国民負担につながることは厳に抑制しなければならない」と診療報酬の引き下げに決意を示し、民間議員も次々と減額改定の必要性を強調した。 官邸の意を受けた財務省には“秘策”があった。 診療報酬は、手術代や医師の人件費などの「本体」と「薬価」で構成される。実勢価格が下がっている薬価の減額には、与党も理解を示している。問題は病院長や医師の収入に直結する「本体」部分の扱いだ。