「勘定奉行 荻原重秀の生涯」(村井淳志著、集英社新書) 荻原重秀は、五代将軍綱吉治世の元禄・宝永期の財務官僚である。著者同様筆者も日本史の授業で、彼が主導した元禄の貨幣改鋳は改鋳益を幕府にもたらしたが、物価の騰貴を招き経済を混乱させたと習った。これについて著者は、"荻原重秀の貨幣改鋳は、鋭い貨幣観に基づく適切な金融政策だった"とする近年の学説を紹介する。そして、重秀を悪人であると強烈にイメージづけしたのは、新井白石であると指摘している。白石は、自叙伝「折たく柴の木」で重秀がいかに悪人であるか異様な執拗さで述べており、現実政治においても、弾劾書を六代将軍家宣に繰り返し提出し、三度目には重秀を罷免しないなら自分が刺殺するとまで書いて、ついに蟄居そして変死に追い込むのである。 佐渡金山の産出量を回復重秀は勘定方の下級役人の次男に生まれたが、勘定方任用以来、「生得記憶強き儘、役筋のこと悉く誦んじ覚
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