著作物再販制問題が提起したもの:望ましい新聞・出版流通のために議論すべき点は何か 『経済セミナー』1997年11月号 独善的な、独占者の論理 「再販制が廃止されたらすぐさま良心的な出版は壊滅してしまうというのは、一時期の『米は一粒たりとも入れるな』というのと同じ感情的極論に通底するところがあるような気がする。なにも再販制が良い悪いと言っているのではない。それはみんなでオープンに慎重に議論して、正当な結論をまとめればいいだけのことだ。僕が言いたいのは、『文化を守れ』的な声高なメッセージが、一方の利益当事者であるメディアによって好きなだけほいほいと流されている現今の状況は、あまりフェアとは言えないんじゃないですか、というただ一点である。・・/・・横並びの制度からは、横並びの文化しか出てこないのではないか。」 作家の村上春樹氏の『村上朝日堂はいかにして鍛えられたか』(朝日新聞社、1997