今年4月に米グーグルが発表した論文の中の文章に、ある外資系半導体大手の幹部は驚いた。「グーグルと競合する2社への挑戦状ともいえる強烈なメッセージが感じられた」からだ。 「競合」とは、AI(人工知能)用半導体の主流を争う相手を指す。AIをより効率的に動かすため、半導体大手やIT(情報技術)大手が火花を散らしている。論文に書かれた文章は次の通りだ。 「TPU(グーグルが独自開発する半導体)の開発プロジェクトは実際、FPGA(回路の構成を自由に変更できる半導体)で始まったが、我々はそれを放棄した。FPGAはその当時のGPU(画像処理半導体)と比較して性能面で競争力がなかったからだ。そして、(今では)TPUは、GPUより高速に動作する。FPGAとGPUを越えて、TPUは大きな利益をもたらす」 競合する2社とは、米国の半導体大手であるエヌビディアとインテルに他ならない。 連載の4回目までで見た通り、