繰り返し使っても「性能が落ちない」電池 2019年のノーベル化学賞に、旭化成名誉フェローの吉野彰氏(71)ら3人が選ばれた。授賞理由は「リチウムイオン電池の開発」。日本人の化学賞受賞は9年ぶりの快挙だ。 「リチウムイオン電池」の始まりは1970年代に遡る。今回、吉野氏と共同受賞した米ニューヨーク州立大学ビンガムトン校(当時はエクソン所属)のマイケル・スタンリー・ウィッティンガム教授が、初めて電極にリチウムを使用した電池を開発した。しかし、反応が不安定なため実用化には至らなかった。 その後、共同受賞した米テキサス大学(当時はオックスフォード大学)のジョン・グッドイナフ教授が、1980年にコバルト酸リチウムを素材にした電池の正極を開発。 さらに、旭化成の研究員だった吉野氏が電気を通すプラスチック「ポリアセチレン」が負極側の素材に適していることを突き止めた。最終的に吉野氏は炭素素材を用いた負極を