「プロジェクト入札における見積リスクと最適応札価格について」というタイトルの講演発表を、日本経営工学会の春季大会で行った。学会だったので聴きに来られる方が限られていたため、ここにそのエッセンスを(数式はのぞいて)採録することにする。 ご存じのとおり、わたしが勤務するエンジニアリング業界では、ほとんどのプロジェクトが競争入札で決まる。エンジ業界に限らず、建設業界やSI(システムインテグレーション)業界などのプロジェクトも、競争入札を実施することが多い。発注者側は基本仕様書とITB(Invitation to Bid)あるいはRFP(Request for Proposal)を用意し、応札者に配付する。応札側は、仕様書にもとづいて見積作業を行い、応札価格を決める。 入札だから、技術要件で失格にならない限り、原則として最低価格の提示者が受注できる。しかし、見積精度には限界があり、かつ実行時にコス