安倍晋三元首相(「首相官邸 HP」より) 実感なき景気回復の裏づけとされる所得格差拡大 2018年までの日本経済は景気回復が続いてきた。GDP統計によれば、日本経済は2015年度から2018年度まで4年連続でプラス成長を続けている。また、失業率は2017年度に23 年ぶりに3%を下回り、雇用情勢も好転してきた。しかし、格差の拡大を理由に、このような景気回復を体感温度の上昇として実感できている人は必ずしも多くないとする向きもある。 ただ、あくまでそれは定性的な判断であることが多く、所得の不平等さを測る指標はジニ係数によって算出されることからすれば、格差が実際に拡大してきたかどうかは、実際のジニ係数によって評価すべきと考えられる。 そこで本稿では、厚労省が実際に算出したジニ係数を基に実際の格差を把握し、今後の政策対応について考えてみたい。 アベノミクスで所得格差縮小 そもそもジニ係数とは、イタ