私が米国シリコンバレーに駐在していた2001年当時。かの地は不況のまっただ中にありました。毎週のように大手企業のリストラに関するニュースが駆け巡り,「最近フリーウエイが渋滞しないのは,通勤人口が減ったからだ」といったまことしやかな話が囁かれるほど。ところがこうした中,そこだけ別世界なのかと思うほど活気に満ちた企業がありました。米Google Inc.です。 Google社に初めて取材に行った時の印象は鮮烈でした。オフィスに入るとまず目に付くのは,受付の背後にある壁にプロジェクタで脈絡なく次々に映し出されるさまざまな単語。広報担当者によると,世界中の人々がGoogle社の検索エンジンに入力している単語をリアルタイムに表示しているのだとか。確かによく見ていると時々日本語の単語も出てきます。壁に目をやると,そこには模造紙を何枚もつなぎ合わせた手書きのグラフ。検索エンジンへのアクセス数の推移を毎日