結論:脳梗塞の既往歴のある心房細動例の急性虚血性脳卒中患者では,不適切な抗凝固療法が目立った。適切な抗凝固療法は中〜高度脳梗塞と院内死亡率のリスクを低下させた。 ### 日本のSAMURAI-AF+BAT研究では,全脳卒中例対象の場合(CHADS2スコア),心房細動と診断されていない例が3割,されているが処方なしが3割,抗凝固療法ありが3割ときれいに分かれていました。日本だと心房細動と診断された例の半分に抗凝固療法されていなかったわけです。
疑問;虚血性脳卒中既往のある心房細動患者における抗凝固療法の頻度はどのくらいか?これと脳卒中重症度や院内アウトカムの関係はどうか? 所見:94474例の観察研究において,84%はガイドライン通りに抗凝固療法を受けていなかった。ワルファリンあるいはNOACは重症脳卒中や院内死亡率低下と明らかな関連があった。
3)NOACのモニタリングはルーチンには勧められないものの,正常範囲のAPTTはダビガトランの治療域に達していないことを示す。抗Xa活性が同定できないレベルであれば,リバーロキサバン,アピキサバン,エドキサバンが臨床的に適切なレベルではない
9)ディスペプシアあるいは腹痛による中止:ダビガトラン35.6%,リバーロキサバン1.6%,アピキサバン0%
2)塞栓症:ワルファリン=ダビガトラン,ワルファリン>リバーロキサバン,ダビガトラン=リバーロキサバン
The Year in Cardiology 2016: arrhythmias and cardiac implantable electronic devices:Atrial fibrillation: pathophysiology, risks, treatment opportunities, and the new ESC AF guidelines ESC循環器病学この1年から,TAVI(transfemoral aortic valve replacement)と心房細動のまとめです。 一度おさらいしようと思っていたので,良い機会でした。 ・大動脈狭窄のある人はもともと心房細動を有している事が多い ・手術やTAVI後早期に潜在性のものが新規発症することがよくある ・洞調律例に比べ心房細動例のほうが,TAVI後の脳卒中,出血,死亡率とも高い Atrial fibrillat
A novel risk prediction score in atrial fibrillation for a net clinical outcome from the ENGAGE AF-TIMI 48 randomized clinical trial Eur Heat J http://dx.doi.org/10.1093/eurheartj/ehw565 目的:抗凝固薬の適応に関する新しいリスクスコアを創出する 方法: ・ENGAGE AF-TIMI試験のワルファリンナイーブ(初回使用)患者対象 ・重篤な脳卒中,生命を脅かす出血,全死亡をもとにしたネットクリニカルアウトカム(NCO)に基づいて統合的なリスクスコアを作成 ・C統計量とbookstrappongによるバリデーションを施行 結果: 1)NCOイベント;7545.9イベント(6.05%)/2898例中,平均2.7年
あけましておめでとうございます。 本年も「心房細動な日々」をよろしくお願い申し上げます。 新年最初はEuropean Heart Journal恒例の「循環器学この1年」です。 このうち「不整脈&植込み型デバイス」の章の中の「脳卒中予防」を紹介します。 要点箇条書きで行きます。 <肥満パラドックス> ・ARISTOTOLEサブ解析 ・17913例対象,1.8年追跡 ・BMI高値ほど全死亡は少ない;HR = 0.63; 95% CI = 0.54–0.74 ・女性では脳卒中リスクにもこのことが当てはまるが男性では適合しない ・脂肪量と出血は無関係 ・説明としては,薬物治療や生活スタイルの変容,より良い予備代謝等が挙げられている The ‘obesity paradox’ in atrial fibrillation: observations from the ARISTOTLE (Apix
Optimal timing of vitamin K antagonist resumption after upper gastrointestinal bleeding A risk modelling analysis Thromb Haemost 2017; 117:https://doi.org/10.1160/TH16-07-0498 疑問:抗凝固薬内服中の消化管出血後の再開はいつからが良いか? 方法: ・3病院でのビタミンK阻害薬投与中に消化管出血を起こしたケースの後ろ向き解析 ・消化管出血再発,血栓塞栓症と再開時期との関係解析 結果: 1)207例中121例,58%で抗凝固薬再開あり 2)平均再開時期;1週間後(0.2〜3.4週) 3)抗凝固薬再開は血栓塞栓症(ハザード比0.19,95%CI0.07-0.55),死亡(ハザード比0.61, 0.39-0.94)を減らす 4
Optimal Timing of Anticoagulant Treatment After Intracerebral Hemorrhage in Patients With Atrial Fibrillation Stroke. 2016;STROKEAHA.116.014643 疑問:脳内出血後の抗凝固薬再開はいつからが良いのか 方法: ・スウェーデンの患者登録研究。2005〜2012年 ・心房細動かつ初回の脳内出血患者 ・血栓塞栓と出血を分けて記載 ・複合エンドポイント:血管死あるいは非致死的脳卒中 結果: 1)2619人対象 2)抗凝固療法により高リスク患者の血管死,非致死的脳卒中は減るが,脳内出血リスクは増加しない 3)脳出血後7〜8週での抗凝固薬開始が最も利益が大きいとに思われる 4)高リスク女性では,血管死と脳卒中の再発リスクは,8週後再開の場合3年で17.0%。再開しな
Direct Comparison of Dabigatran, Rivaroxaban, and Apixaban for Effectiveness and Safety in Nonvalvular Atrial Fibrillation. Chest. 2016 Dec;150(6):1302-1312 疑問:ダビガトラン,リバーロキサバン,アピキサバンを直接比較した場合の結果は? 方法: ・米国南部〜中西部の医療保険またはメディケアからのデータベース使用 ・上記3剤を使用した非弁膜症性心房細動:2010年10月〜2015年2月 ・リバーロvs.ダビ31574例,アピvs.ダビ13084例,アピvs,リバーロ13130例 ・主要評価項目:脳卒中/全身性塞栓症(有効性),大出血(安全性) 結果: 1)脳卒中/全身性塞栓症:3剤間で有意差なし 2)アピキサバンは他の2剤よりも大出血リス
Off-Label Dosing of Non-Vitamin K Antagonist Oral Anticoagulants and Adverse Outcomes The ORBIT-AF II Registry J Am Coll Cardiol 2016;68:2597-2604. 疑問:NOACのオフラベル(適応外)使用の頻度とアウトカムはどうか? 方法: ・米国の地域での242施設の登録研究(ORBIT-AF II) ・5738人,平均0.99年追跡 ・FDA認可に基づき,過小用量,適切用量,過大用量に分類 ・アウトカム;脳卒中/全身性塞栓症,心筋梗塞,大出血(ISTH分類),入院(関連のある),全死亡 結果: 1)過小用量9.4%,過大用量3.4%,適切用量87% 2)オフラベル群は適切群より:より高齢,女性多い,電気生理学医少ない,CHA2DS-VAScスコア高値,OR
今年も恒例の心房細動論文ベスト5です。 年々抗凝固薬関連の論文もエポックメイキングなものが減りつつあり,また個人的にブログ更新が少なかったこともあって,例年に比べ,カバーしている論文は少ないかもしれません,その点ご容赦ください。 視点はあくまで,私個人の現場に行動変容を起こさせるかどうかで決めております。 第5位:CHA2DS2-VAScスコア2点以上ではアブレーション後も抗凝固はやめないほうが良い 2点以上かどうかには論議の余地がありますが,かなり参考にすべき論点と思います。 JAMA Cardiol. Published online November 23, 2016. doi:10.1001/jamacardio.2016.4179 第4位:心房細動の死因は突然死や心不全が多く,脳卒中は少数 その他にも同様の報告が数多く出てきており,すでにポスト抗凝固時代と言ってよいかと思います。
Causes of Death in Anticoagulated Patients With Atrial Fibrillation JACC Volume 68, Issue 23, December 2016 DOI: 10.1016/j.jacc.2016.09.944 疑問:抗凝固療法下の心房細動患者の死因は何か E/C:DOAC対ワルファリンのRCT登録患者 O:死亡率,補正後の死因 T:メタ解析 結果: 1)4RCT, 71,683人 2)死亡率9%,補正後死亡率4.72%/年 (4.19-5.28) 3)心臓死:46%,非出血性脳梗塞/全身性塞栓症:5.7%,出血関連死;5.6% 4)生存例に比べ死亡例では:心不全の既往(OR1.75),持続性/永続性心房細動(OR1.38),糖尿病(OR1.37),男性 (0R1.24),高齢者 (3.2歳高),CrCl低値 (-9.9)
Thromb HaemostにNOACのアドヒアランスに関する総説がでています。 Adherence to oral anticoagulant therapy in patients with atrial fibrillation Focus on non-vitamin K antagonist oral anticoagulants Thromb Haemost 2017 http://dx.doi.org/10.1160/TH16-10-0757 大雑把にまとめます。 <服薬アドヒアランスに影響する因子> ●患者側要因 ・特性:年齢,民族,教育レベル,社会経済的ステータス,要介護度 ・医療的状況:合併症,障害度,脆弱性,認知症,薬剤忍容性+副作用,ポリファーマシー ・行動要因:社会的孤立,精神疾患 ・医学的知識への理解:薬剤服薬及び中止に関連したリスクとべネフィットへの理解 ●医
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