<社会に内在化されている集団心理の原因、それを支える「社会装置」について。また、イスラエルに対して「親」や「反」で国際社会が分断しないためにすべきこととは> イスラム組織ハマスによる奇襲攻撃によって、イスラエル社会に共有される根深い「被害者意識」が改めて浮き彫りとなった。 ポーランドの片田舎に人目を避けるように建設されたアウシュビッツの収容施設に立ち入れば、当時ユダヤ人が感じたとてつもない恐怖を強制的に想像させられる。ホロコーストは紛れもない事実であり、虐殺されたとされる600万人というユダヤ人犠牲者の規模はわれわれの想像をはるかに上回る。 国家としてのイスラエルには、この「恐怖」が深く根付く。5月5日、ホロコースト追悼祈念日「ヨム・ハショア」に向けて、イスラエル軍のハレビ参謀総長は声明を出した。 「われわれを滅ぼそうとする凶悪な敵に押し付けられた戦争で、突然終わった全ての命。しかし、今回