「スカートの中にスマートフォンをかざし……」というくだり、どう思いますか? けしからん、そんなことはしちゃいかん、というのはもちろんですが、言葉の問題です。「かざす」という言葉の使い方についてのこと。 照りつける日差しに「まぶしい」と小手をかざすことがありますが、これは手を目の上に上げる動きです。 あるいは冬場、「ストーブに手をかざす」というならば、ストーブにかぶせるように手のひらを差しかけることでしょう。 「かざす」は漢字では「翳す」と書きます。「翳」は音の「エイ」と訓の「かげ」、そして意味も「影」と通じます。 「かざす」というのはまず「物の上方に、覆うように差し掛ける」(新潮日本語漢字辞典)こと、すなわち何かの上に手などを差し出し、影を作るような仕草と言ってよいでしょう。 新潮日本語漢字辞典より その上で冒頭の文に立ち返ると、改めて首をかしげたくなります。何かの下にものを差し出すことを