創造性を掲げる前に大事なことを忘れていないか。「モノマネは戦略だ」と公言する名物社長のパクリ経営の真髄を探った。 のどかな住宅地が広がる東京都下、小金井市――。うだるような残暑のなかを50人近い背広の集団が汗を拭き拭き、列をなして歩いていく。9月なかばの火曜日、午前11時すぎ。路上に落ちかかる影がくっきりと濃い。 自社の経営を開陳する「見学会」の参加者約50人を引き連れて住宅街をゆく小山昇・武蔵野社長(写真中央)。1948年、山梨県生まれ。東京経済大学を卒業し76年入社。『人を信じても、仕事は信じるな!』など著書多数。 なにやら声を張り上げながら先導するのは、株式会社武蔵野の小山昇社長である。 「いいですか。マネは戦略、パクリは戦略なんですよ」 ついさっきまで、築30年超の本社屋のなかで持論をぶっていた。次は近くにある現場事業所へ移動し、会社の中身をそっくり見てもらおうというのである。 武