かゆみに耐えられず、爪を立ててバリバリとかく。皮膚は傷つき、赤黒く変色。いたるところにかさぶたと出血が見られる。 この記事の写真を見る 体を動かすだけで激痛が走るため、一日中ベッドで横になっている。衣服は、皮膚への負担を軽減するため、つねに大きめのパジャマ。炎症した箇所からにじみ出る、滲出(しんしゅつ)液という液体が付着し、独特のにおいが漂う――これは野村千代さん(31歳)が大学生のときに起きた、アトピーが重度化したときの症状である。 ■アトピーが重度化し、ゾンビみたいな状態に 「皮膚はドロドロで、ゾンビみたいな状態でした。生き地獄ですよね。何でこんな状態で生きなきゃいけないんだ、どれだけ自分は不幸なんだ、と強く思っていました」 彼女は現在、自身と同じようにアトピーに苦しむ人の支援事業を行う、株式会社untickle(アンティクル)の代表を務める。今は症状が落ち着いているといい、明るい笑顔