王将を奪取し再び二冠に返り咲いた渡辺竜王は、棋王の座にも王手をかけている。取れば羽生三冠に並ぶことになり、2強の実力と名声はますます輝きを増していくのだ。そんなライバルの歴史に残る「17時間の激闘」の舞台裏をクローズアップする。 竜王を9連覇している渡辺明竜王(28)が一度だけタイトル防衛に失敗したことがある。昨年の2冠目の王座防衛戦だ。挑戦者はその前年、王座から引きずり下ろした羽生善治(42)だった。 王座は羽生にとって特別なタイトル。92年に初戴冠して以来、19連覇。しかも、6年連続3連勝で防衛中だった。渡辺は前人未到、節目の20連覇を阻止していただけに、この対戦は注目された。将棋関係者が言う。 「王座は挑戦者決定リーグ戦がないタイトル。5番勝負の舞台に立つまでは一戦も負けられない。勝ち上がった羽生には執念さえ感じられました」 王座は渡辺が03年に初挑戦したタイトルで、その時は奪取に王