土俵上で懸命に救命活動する女性に「降りて」とアナウンスした日本相撲協会の対応が物議を醸している。大相撲には「女人禁制の伝統」があるが、そもそも宗教的な色彩の強い「女人禁制」をどう考えればいいのか。文化人類学者の鈴木正崇・慶応大名誉教授に聞いた。 【写真】大相撲の千秋楽には、すべての取組や儀式の最後に「神送りの儀式」がある。場所前の「土俵祭」で迎えた神様に感謝し送り出すための神事で、御幣(ごへい)を持った行司を出世力士たちが土俵の上で胴上げする=東京都墨田区の国技館、2017年撮影 ――女人禁制は、どうして生まれたのか。 「一般的には、男性が世俗の欲望を断ち切る修行の場に女性がいると妨げになるという考えと、女性特有の出産や月経に伴う出血を『血の穢(けが)れ』として不浄視するという説明がされる。ただ、時代をおうごとの変遷をみると、そう単純ではない」 「日本では古来、多くの山が信仰の対象で、もと