ブックマーク / dain.cocolog-nifty.com (11)

  • 決して人前では読まないでください『ワンダー Wonder』

    まちがえた、読むんじゃなかった電車の中、ずっと涙が止まらない。 わたしは、ときどき、失敗する。『シュタインズ・ゲート』といい、『さよならを待つふたりのために』といい、琴線ふるわせ涙腺ゆるめる傑作を、車内で読むという間違いだ。朝のラッシュで泣きじゃくるオッサンは、相当キモくて通報レベルだと自分でも思う。 後から振り返ると、『Wonder ワンダー』の帯の惹句の「きっと、ふるえる」を甘く見てた。ええもう、たっぷり震えましたとも。理由は、緊張だったり恐怖だったり、怒りや悲しみもある。この主人公に移入するのは、かなり難しいが、彼や周りの人たちの感情はすぐに、まっすぐに伝わってくる。なかでも、いちばんわたしを震わせたのは、感動、それも「わたしの心の中にあるやさしさ」を見つけた感動なり。 ふつう、「やさしさ」は目に見えない。誰かを思いやる言葉や行動に、わたしが感じるもの。しかし、このを読みながら、登

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    holog 2015/08/07
  • 国民を説得する技術『戦争プロパガンダ 10の法則』

    国民もバカじゃない、避け得るものなら避けたいと考えている。日に限らず、喜んで戦争する国なんてない。 では、どうやったら説得できるだろうか? 世論を味方につけ、同盟国の了承を得、効率的に開戦にこぎつけるために、為政者は何をどのように語りかければよいのか? 第一に重要なことは、平和への意志を強調することだという。決して戦争などを望んでおらず、攻撃のための動員ではなく、防衛のための力が必要なのだと主張する。第1章「われわれは戦争をしたくはない」を読む限り、第二次大戦の際、ローズベルトも、東条も、ヒトラーも、ゲーリングも、異口同音に平和を唱えていることがよく分かる。 次に重要なことは、みな平和を望んでいるにもかかわらず、なぜ戦争をしなければならないか? という疑問に答えることだ。第2章「しかし敵側が一方的に戦争を望んだ」のタイトルで分かる。敵国が先に仕掛けてきた(挑発してきた)からであり、われわ

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    holog 2015/05/15
  • 自炊の味方『小林カツ代のお料理入門』

    料理をおいしくするコツが、やさしく伝わる一冊。 我が家で最も信頼されているレシピは、小林カツ代シリーズになる。料理一年生ではないけれど、味付けの勘所だとか、おいしくなるひと工夫を、ピンポイントで教えてくれるから。3~4人ぐらいだと、彼女のレシピが一番いい。 ところが書は、趣が違う。わたし+誰かのための料理ではなく、わたしだけの美味、ひとりごはんを目指してるところ。いつもの家族向けというより、一人暮らしの自炊の味方となっている。ひとりだと、節約+満腹に目が行きがちだが、彼女のポリシーだと、「ひとりのご飯こそ贅沢においしく」になる。結果、料理のラインナップは、かなりユニークだ。 たとえば一品目、すき焼き。ひとりすき焼き!? 鍋物って大人数で囲むイメージが崩れさる。しかも、ポイントがシンプルだ。すき焼きで大事なのは、「葱は必ず焼きつける」だそうな。一以上、斜めに切って、びっしり鍋底に敷きつ

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    holog 2015/04/15
  • 文章読本の名著90冊から抽出した『究極の文章術』と、わたしが強力にお薦めする2冊

    上手になりたい全ての人に。 文章術を紹介するエントリが定期的にもてはやされる。中身は似たり寄ったりなのに、なぜ? それは、文章「術」が好きだから。ほらあれだ、勉強「法」ばかりアレコレ試して計画するけど、勉強そのものはあんまり、というやつ。このは、そんな人にピッタリで、かつトドメを刺す一冊になる。 ご紹介の前に、わたしの方法をお伝えする。文章が上手になりたいのなら、次をひたすら繰り返すしかない(ソース俺、反論歓迎)。 1. 書け 2. 削れ これだけ。書き出しが決まらないとか、構成がまとまらないとか、悩みが尽きないのは分かる。でもこれしかないんだ。そして、1と2をやらないなら、文章読を読んでも無駄。あれは、作家さんが小遣い稼ぎにらしいこと言ってるだけで、それだけでは参考にならぬ。1と2を繰り返していくことで、腑に落ちるんだよ。教則だけで運転ができるかよ、泳げるのか? まず書け、そして削

    文章読本の名著90冊から抽出した『究極の文章術』と、わたしが強力にお薦めする2冊
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    holog 2015/03/27
  • 糞システムにしないため、私ができること『はじめよう! 要件定義』

    「なぜ糞システムができあがるか?」の答えは、「一つ前の仕事をしている」に尽きる。 詳しくはリンク先を見てもらうとして、まとめるなら、自分の仕事のインプットが出来てないので、仕方なく前工程の仕事を代行しているうちに、リソースと気力がどんどん失われているからになる。これはプログラマに限らず、SEからPM、テスタや運用を入れても、当てはまる。「何をするのか」が決められない経営層が糞だから、あとはGIGOの法則(Garbage In, Garbage Out)に従う。 では、どうすればよいか? 「“何をするのか”を決めてもらう」という回答だと、連中と同じ肥溜めに落ちている。なぜなら奴らの“目標”とは、「売上を○%ストレッチする」とか「新規市場を開拓する」といった、現状を裏返した願望にすぎないから。売上アップ/新規開拓のために、どこに注力して、何にリソースを使い、そのために必要な道具(システム)を“

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    holog 2015/03/11
  • 「眼の冒険」はスゴ本

    「眼の経験値」を上げるスゴ。 のっけからのろけで恐縮だが、嫁さんは料理上手だ。料理学校に行ったこともないのに、なぜ? ――訊いたところ、「美味しいものをべてきたから」とのこと。海の幸・山の幸に恵まれたところで育ったからだという。旬の素材に親しんでおり、いわば「舌の経験値」を積んでいるのだろう。 これは、眼の経験についても同じ。いいデザインを見ることで、眼が肥える。同時に素材に対し、「いいデザイン」であるとはどんな表現なのかを感じ取れるようになる。いままで「感性を磨く」という言葉で片付けられていた経験は、「書を読む/視る」に置き換えてもいい。 スーパーマンからマッドマックス、ピカソやエッシャー、ウォーホルといった実例がてんこ盛りで、絵画や写真、タイポグラフィやイラストから、デザインの手法・見方が紹介される。モノとカタチ、デザイナーはこれらをどのように見ているのかが、デザイナー自身の言葉

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    holog 2009/05/01
  • わたしが知らないスゴ本は、きっとあなたが読んでいる: 死を忘れないための3冊+

    いずれ死ぬときを思い浮かべて、いまを生きる。これがむずかしい。 「死を忘れるな」と思い刻んだつもりでも、毎日に追われていると、この日が尽きることを忘れる。は買っただけで満足し、欲しいモノを追い求め、毎日あくせくしている割には充実からは遠い。いつか来る「死」からは目を背ける――わたしのことだ。 "Memento mori" は、「死を忘れるなかれ」と訳されるが、LifeHack的に言い代えるなら、「未来の死を思い起こす仕組みをつくり、定期的にくりかえせ」だね。そんな場合に効いてくる映画をご紹介。余命を自覚した人からのメッセージは、文字通り最後のレッスンとなる。定期的にこのレッスンを受けることで、自分の死を、翻っては生を意識することができる。 1時限目 「最後の授業 ぼくの命があるうちに」 2時限目 「モリー先生との火曜日」 3時限目 「冷蔵庫のうえの人生」 課外授業 「死ぬまでにしたい

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    holog 2008/08/10
  • 損得勘定の定石を知る「定量分析実践講座」

    コンサルタントやマネージャにとっては、武器庫になる一冊。 もちろん意思決定を行うにあたり、数字で裏付ける重要性は分かってる。けれども、KKD(勘・経験・度胸)だけで決めてないだろうか。最後に「エイヤっ」と決めるとき、跳躍の幅は狭められないだろうか、着地点の精度を高められないだろうか。 そんな意思決定の確実性を高める「定石」が16、紹介されている。 しかも、16種の武器の使いどころや適用例が「case」→「思考のプロセス」→「解説」と三段階で説明されている。「実践的」と銘打っているのはケーススタディが豊富なためだろう。コンビニの新米経営者を主人公とし、彼が直面するさまざまな問題に対し、定量分析手法を駆使していく。その過程を通じて、読者にも武器が扱えるようになるのを狙いとしている。 たとえば、サンクコスト(sunk cost:埋没費用)。 PMBOKガイドで知っていたが、「死んだ子の年を数えな

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  • 人生を変えるのは恋と死。あるいは、ちょっとした行きちがい「ハワーズ・エンド」

    警告!書に挟んである解説を読んではいけない。色紙のやつだ。 編者の池澤夏樹氏が読書ガイドのつもりで書いており、あらすじや背景、おもしろがるポイントが紹介されている。ほとんど「さわり」だけなので、文にとりかかる前に読んでいた――が、「ハワーズ・エンド」のやつはダメだ。重大なネタバレがあるから。 自覚しているみたいで、ネタバレを書いた直後、池澤氏はこう続ける。 ぼくは先を急ぎすぎただろうか。ミステリで犯人の名を明かすようなことをしただろうか。しかし、この主題が正面に出てくるのは小説ぜんたいの半分まで行かないところだから、これは許していただきたい うはwwwおkwww、自分で分かってるじゃんwwwと噴きながら、もう一つの重大なバレも目にしてしまい、オレ涙目。そうかーあの人、死ぬんだー。 気を取り直して、彼が伝えたかったテーマを、バレ抜きで書いてみよう。この小説のテーマは、人と人との理解はいか

    人生を変えるのは恋と死。あるいは、ちょっとした行きちがい「ハワーズ・エンド」
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    holog 2008/06/30
  • アフォーダンスを拡張する「数学でつまずくのはなぜか」

    数学講師としての経験を踏まえ、それぞれの「つまずき」の根っこをズバリつかみとって見せてくれる。「どこに引っかかっているのか?」を推理しながらの問診は探偵じみてて面白いし、「犯人はそこだ!」と見つけ出すのは、代数なら代数の、幾何なら幾何の質そのもの。 いわば、中学高校における数学の、タネ明かしをしてくれる一冊。 しかも熱血なトコがいい、体温高いよ、このセンセ。ラストの「プレゼント講義(3時間)」の件はじんときた。数学のセンセって、もっと冷静なイメージだったけれど、この人は真逆だね。アツくしつこく「数学なんて大嫌い」に付き合ってくれる。 著者は、ワケ知り顔のオトナとは違う。「数学は役に立つよ」とか「数学はファンタスティックだよ」などと言わない。子どもたちが直面している「数学の忌々しさ」を肌身で感じているから。 非常にユニークに感じたのは、アフォーダンスの観点から数学を問い直しているところ。ア

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    holog 2008/06/23
  • 「チェルノブイリ旅行記」と「廃墟チェルノブイリ」

    究極の廃墟なら、チェルノブイリだろ。 1986年4月26日未明、ウクライナ共和国、チェルノブイリ原子力発電所で起きた爆発事故――あれから22年経った今、チェルノブイリ「石棺」周辺は、ぶっちぎりの廃墟ゾーンとして聖地なっている。 2003年、ただ独りで、バイクで訪れた人がいる。エレナという、ウクライナの若い女性だ(彼女のサイト : [elenafilatova.com])。 彼女によると、原子炉を中心とした「ゾーン」そのものが放射能を帯び、呪われた土地となっている。たとえば、45km離れたヴィルチャでは、ガイガーカウンターは109mRを示している。危険ではないらしいが、吸い込んだ放射塵は分からない。ホコリは地面に吸収され、土地そのものが汚染されているのだ。 彼女の旅行記の日語訳は[チェルノブイリへのバイク旅]にある。文章よりも写真が豊富で、ある特定の廃屋や廃ビルの「写真集」ではないところが

    「チェルノブイリ旅行記」と「廃墟チェルノブイリ」
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    holog 2008/06/06
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