永禄3年(1560年)5月20日深夜 桶狭間山にて織田家四千布陣 くそ、ここに来る最中に天候が崩れてくれればいいと思っていたが、そうもいかなかったらしい。 物音一つに敏感になるほど静かな夜だ。 この状態で全軍が今川へ奇襲をかけた場合、今川義元を討つまでに体制をたてなおされないだろうか。 織田の刃は義元の首に届くのか。 確か史実では豪雨が突如降り始め、今川陣営は奇襲前に混乱を起こしていたらしい。 さらには雨は馬の走る音をかき消すため、奇襲はギリギリまで気付かれなかったはずだ。 雨が降っていない分、兵は機敏に動けるだろう。 加えて視界の確保も容易であり、大将に近づく敵も感知しやすいはずだ。 史実の織田信長は天を味方につけて勝利した。 だが、天が味方をしなければ? 本当にこの信長は勝利することができるのか。 くっそ~嫌な予感がするな。 「頃合いか」 俺が頭を悩ませている中、信長はそう言うと静かに
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