長男は卒園式のあと、仲良しの女の子とふたりで、幼稚園の教室で泣いていたそうだ。 もう、これで会えなくなるんだね、って。 もちろん、会おうと思えば、会える。たぶん、いつでも。 でも、たぶんこれから二度と会わない人が多いことも、子供たちは、なんとなくわかっている。 学校は離ればなれになってしまうけれど、先生も、幼稚園のクラスのみんなも、それぞれの日常を生き続ける。先生は新しいクラスの子たちのことで頭がいっぱいになり、幼稚園の友達も、それぞれ、新しい小学校での新しい人間関係がはじまる。 「泣いていたのは、ボクと、○○ちゃんの二人だけだったよ。先生も少し泣いてた。同じ小学校に行くって言っていた××くんたち4人は、ずっとふざけて遊んでた」 僕は、幼稚園の卒園式で、泣いただろうか。 記憶にある限りでは、小学校、中学校、高校、大学と「卒業」のときに、泣いたことはない。 将来に希望を持っていたから、という