全世界の家庭で日常行なわれている食糧の加工・料理に、初めて学問的なメスを入れた労作。民族によって異なる炊飯、世界共通の大豆発酵食品、好まれる獣肉など、エスニック料理に光を当て、驚きの事実を解き明かす。 米の料理(飯盒飯の炊き方/日本の古代には湯取り法はなかった/日本古代の米の炊き方/おこわを常食にするラオス/ジャワ島の笊取り飯/前期炊干し法の世界/華北の蒸し飯/湯取り法の世界竹飯(カオ・ラム)のこと/シトギというもの/セイロン、ビルマのシトギ/外国のモチ/パーボイル加工とヤキゴメ/パーチト・パディとパーチト・ライス/プラオ/大胆な仮説)/麦の料理(パリーのパン屋/パン種の登場/華北のマントウ/ウドンのこと/インド、パキスタンのチャパティ/中国のピン(餅)類/ナンというもの/タンナワー/アラブパン/西欧のパン/バルガーというもの/麦の粥食/炒り麦の加工/中国の炒り加工/インドの炒り麦製品/チ
ヤマザキマリ(マンガ家) 67年生まれ。「テルマエ・ロマエ」で手塚治虫文化賞短編賞、マンガ大賞2010。近刊に『ジャコモ・フォスカリ 1』。 ■無機質の向こうから生の声 『方舟さくら丸』 著・安部公房(新潮文庫・620円) 日本ではまだ殆(ほとん)どの作家達(たち)が手書きで原稿を手がけるのが当たり前の時代に、安部公房は当時市場に出たばかりのワードプロセッサーを導入して作品を執筆する様(よう)になった。情緒的表現を排した安部公房の無機質でシニックな文体は、恐らくこの機械と心地良くマッチングしたのだろう。とあるテレビ番組で氏が自分の仕事場に設置されたシンセサイザーと共に、当時まだ巨大で物々しい様子だったワープロについて意気揚々と説明しているのを見た事がある。 かつて留学先のイタリアで貧窮状態に陥っていた頃、私は胃袋を満たせない代わりに安部公房の作品を貪(むさぼ)るように読んだ。安部作品を読
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