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今回紹介するのは円堂都司昭『ディズニーの隣の風景 オンステージ化する日本』。テーマパーク、ゆるキャラ、YOSAKOI、聖地巡礼や街コンといった、最近巷を賑わせている話題について論じながら、『ディズニー化する社会』を書いた社会学者アラン・ブライマンが提唱する「パフォーマティブ労働」についても考察をしている。 「パフォーマティブ労働」とは、著者曰く「ショー的要素と自己啓発的要素の融合した」もので、これもやはり最近注目が集まっているディズニーランドにおける従業員の労働形態を指して呼んだもの。 社会評論的な視点でディズニーに言及したものとしては、速水健朗さんの『都市と消費とディズニーの夢 ショッピングモーライゼーションの時代』が記憶に新しいが、速水さんの本はもっぱら施設の方に着目しているのに対して、円堂さんのほうはむしろ労働者に目を向けているところが興味深い。これはむしろ荻上チキの『社会的な身体~
鎌倉・室町時代の政治や外交の舞台では、禅僧たちが活躍し、その流れは江戸時代までも続く。漢詩や食生活など今に残る文化の創造にも貢献し、京・鎌倉だけでなく地方にまで花開いた、強固な禅宗文化を読み解いた労作。 奈良平安時代禅宗の伝来(中国禅宗の興起/唐朝禅の摂取/宋朝禅の流入)/鎌倉時代禅宗の興隆(兼修禅の勃興とその系譜〈栄西の黄竜派/円爾の聖一派/無本の法燈派〉/純粋禅の興隆とその系譜〈蘭渓の大覚派/兀庵の宗覚派/大休の仏源派/無学の仏光派/一山の一山派/東明の宏智派/清拙の大鑑派/金剛幢下/明極と竺仙/禅宗と公武社会〉以下細目略)/五山派の展開(叢林と林下/五山機構の確立/五山派の成立とその推移)/林下の形成と展開(曹洞教団の地方発展/大応派の擡頭/幻住派の勃興と臨済宗の統合)/江戸時代禅宗の興起(明朝禅の伝来とその影響/曹洞宗の復興/臨済宗の進展/普化宗の跋扈)/参考文献/『禅宗の歴史』を
旅のエッセイと世界で出会ったおやつレシピ! 素敵な出会いと手づくりの喜びを贈る1冊!!京都、台湾、北京、ブータン、ニューヨーク、カナダ、パリ、ローザンヌ、ピエモンテ……思い立ったら「旅×おやつ」。海外・国内を子連れで駆け巡る「おやつ記者」である著者が、世界各国を旅します。9カ国30都市の涙と笑いあふれるエッセイと、旅先で教わった身近な材料で手軽においしく作れる、世界のおやつ40レシピを掲載しています! CHAPTER 1 思い立ったら、旅×おやつ 日本、台湾、北京、ブータン Essay 京都でバタフライ妊婦&清く正しく美しい産後食 東北・仮設住宅のなつかしい「お湯のみプリン」 北京&台湾の人間国宝級 粉もん名人3番勝負 「幸福の国」ブータンで贅沢!?マツタケ探し Recipe いちごパンチ 嶺岡豆腐 岩手の「がんづき」 大槌ディップ&白玉だんご 鮎焼き お湯のみ入り
このマンガを読んだときは衝撃を受けた。このタッチは見慣れている気がする、美大っぽい感じ。ラフな感じでありながら、きちんとした教育を受けた人の筆さばきだ。だから画面に展開する図像に目新しさ、投げ遣りを装ったキャラクターたちの計算された脱力感に驚いたのではない。何に驚いたかと言えば、そのSF的な表現だ。『変身のニュース』、これは使い古された言い方ではあるけれど、「マンガ表現の極北」にいる作品だと言っていいだろう。 この作品は、「変身」をテーマにした短篇集。乾ききった世界の中を、「すこし不思議」な設定の若いキャラクターたちが少し苦い人生を生きている。まるでカフカのあの『変身』を彷彿とする「変身」が登場人物にもたらされ、その「変身」によって世界の構造そのものが根底から大きく覆される。素っ気ないかのようなキャラクターや情景の描写、敢えて「ちょっと意外な(でもそれなりにありふれた)SF的設定」が導入さ
かねてから、アダルトビデオとプロレスは似ていると思ってきた。そこに生身の人間がいて、殴り合いやセックスという、その人間の体を痛めつける行為をショービジネスにするというところ。そして、そういう「ビジネス」が世間に存在し、一部の人達の欲望や憧れの的になっているということは、世の中のことを考える際にとても重要なことだと思っている。 今回紹介する『人間仮免中』の著者は、元AV女優の卯月妙子さんという女性だ。「元AV女優」といっても、その経歴は半端なものではない。その「凄さ」を知りたいならば、卯月さんの前著『実録企画モノ』を読んでみるといい。SM、スカトロなど、文字通り半端ではないレベルの「企画」に体当たりでのぞんだ人物なのだ。しかし、今回のこと『人間仮免中』をとりあげようと思ったのは、この本がいわゆる「スゴい」「ヤバい」という触れ込みの本だと誤解して、手にとるのを躊躇ったり、そのままスルーしてしま
「変態」という言葉はもともと生物学の用語で、例えば蝉の幼虫が夏に木にとまってミンミン鳴く成虫になるように「姿が変わる」ことを指したものだった。それがいつのまにか、心理学の用語「変態性欲」を経て人口に膾炙し、性的に一般的でない人や行為を指して「変態」というようになったのだと考えられている。 生物学でいう「変態」は、英語でいうと「transform」。自動車が意識を持つロボット生命体に変形する『トランスフォーマー』を思い出してしまいがちだけれど、実はこの「トランスフォーム」という概念に執着した人物を一人思い出してほしい。漫画の神様こと手塚治虫その人だ。かつて医学の道を志したこともある手塚治虫は、生涯を通してこの「トランスフォーム」に関心を持ち続けた。 今回紹介する『ぼくらのへんたい』を読んでいる時、この手塚治虫における「変態」について、どうして考えたくなってしまった。『ぼくらのへんたい』は思春
本日とれたての近刊情報から、ナガタが気になったタイトルをピックアップしてお届けします。 ・『ミスター味っ子 おいしさ溢れ出す! 特製あつあつ弁当の巻 アンコール刊行』 ・『理想だらけの戦時下日本』 ・『日本文化の論点』 ・『はじめての植物学~植物たちの生き残り戦略』 ・筒井康隆 編集『60年代日本SFベスト集成』 【本が好き!編集部ナガタのプロフィール】 当「BOOKニュース」を担当している’79年生まれ男性。 アメリカ合衆国コネチカット州生まれ。 その後、札幌・千葉・マニラ・東京・京都を転々。現在は板橋区在住。 フリーター・契約社員・嘱託社員・正社員・無職・結婚・離婚など紆余曲折を経て現職。 百科事典と画集と虫と宇宙が友達です。================================== 「BOOKニュース」では出版系のイベントからマニアックな新刊情報まで、 本に関する情報を収集
尚月地(なお・つきじ)という漫画家の『艷漢』という作品の最新刊が近日発売です。この『艷漢』という作品、強烈に美麗、ただしエロくて、かつ絶妙に毒々しい異様なもの。今回はその魅力を紹介したいと思います。 記事の後半に編集部からいただいた美麗イラストを掲載していますので、どうぞ御覧下さい。 まずは上掲の表紙を御覧下さい。中央にいる詰襟制服を着ている人物、色っぽいですねえ。これがこの作品の主人公・詩郎。絶世の美少年であり、かつ「暗器」と呼ばれる隠し武器の使い手。この細く白い蠱惑的な肉体に武器を潜ませ、敵と戦います。この詩郎、普段は「傘職人」として、美しいけれども買い手がなかなかつかないような芸術的な「傘」を作っています。 その詩郎の左側に顔が描かれている凛々しい男性。彼がこの作品のもう一人の主人公・光路郎。のらりくらりとした詩郎とは対照的に、実直な性格のキャラクターです。中性的で毒を含んだ詩郎の「
雑誌を中心に幅広く蒐集活動を行い、編集者・ライターとしても国内外を問わず古今東西の文化を精力的に紹介している「ばるぼら」氏。今回はそのばるぼらさんに、「2012年に刊行されたデザイン書」を5冊選んでいただきました。 「デザイン」というのは、単なる視覚的な意匠にとどまらず、時代ごと、社会ごと、対象者ごとに、情報をどのように整理し、どのように伝えたいのかを、もっとも効率的に圧縮しているものだと僕は考えています。だから、最新のデザイン書について概観することで、そこでどのように情報が整理整形され、誰にむかって何が発信されようとしているのか、誰が何を受信しているのかも見ええくるのではないでしょうか。 *** 「2012年に出たデザイン関連書を5冊選んでください」と頼まれて、気軽に引き受けたものの、いざ考えはじめて直面した問題は、2012年特有の何かというものがどうにも思いつかないことだった。 201
今年もたまごまごさんに原稿を依頼しました。今回は、昨年から話題騒然の阿部共実特集です。先日、代表作『空が灰色だから』の最新刊と、最初期からの短編を集めた作品集『大好きが虫はタダシくんの―阿部共実作品集』が刊行されました。読者の不快感を煽るような独特の表現を用いて、社会生活の不安を描く阿部共実の魅力とは何なのでしょうか。 阿部共実の作品を最初に読んだとき、つよく印象にのこったのは虫でした。 虫には「群体で行動することが多く、単体で生きていくことができない」というイメージがあります。 群れの中で何らかの役割をになって、初めて生きていけます。 でも人間は違う。一人でも生きられる。ゆえに、自我がある。 自分は他人と違う。社会と違う。一個人である。こうやって認識することで、「自分」を考えるきっかけができる。 それが、阿部共実作品ではゆらぎます。 強烈な自意識過剰と、自他の境界線の崩壊。自分はこう思っ
前回に引き続き、評論家の大森望氏へのインタビューの後編です。インタビュアーは、バンド・デシネの翻訳者として多数の作品を手掛けている原正人さん。大森さんの「SFファンの教養としてバンド・デシネと出会った」というお話が中心だった前回に続き、今回は大森さんがプッシュしている大作『闇の国々』のお話を中心に伺いました。 前編はこちら 原:『闇の国々』は既にかなりの作品が訳されましたが、どれが一番面白かったでしょうか? 大森:一番驚いたのは「傾いた少女」ですね。小説では書けないSFというか。 メビウスもそうですよね。『アルザック』も小説で書いてインパクトがあるSFになるかというと、そうはならない。ヴィジュアルでしか表現できないSF的な魅力というものがあるんです。普通こういうことは考えないと思いますが、女の子が傾いているというアイディアがまずあって、そこからなぜ斜めなのかということについて、一応解明しよ
2013.01.16 posted by honzuki / Category: 原正人 / Tags: SF, マンガ, 古典, 映画・アニメ SFの翻訳者としても、また豊崎由美氏との「メッタ斬り!」シリーズでも知られる、評論家の大森望氏に「バンド・デシネとSF」という切り口でインタビューしました。インタビュアーは、バンド・デシネの翻訳者として『闇の国々』をはじめ、多数の作品を手がけてきた原正人さんです。 インタビューは前編・後編でお送りします。前編は、日本のSF界の重鎮である大森氏の眼から見たバンド・デシネの受容史。後編は、2012年に主要作品のシリーズ邦訳が決定した大作『闇の国々』についての大森氏の分析です。 原:大森さんには以前、東京堂書店神田本店で行われたバンド・デシネのイベントにも出演していただきましたし、邦訳バンド・デシネの書評も多くしていただいています。そもそも海外マンガに
『読むことのアレゴリー』、『ポール・ド・マン』(ともに岩波書店)刊行記念 土田知則さん&巽孝之さんトーク・セッション 「ポール・ド・マン・ルネサンスのために」 イェール学派を率い、文学研究にとどまらず哲学・思想にも深い影響を与えた ポール・ド・マン(1919-83年)。 今年は彼の没後30年にあたります。主著である『読むことのアレゴリー』の翻訳、 そして研究書『ポール・ド・マン』(ともに岩波書店)を、ド・マンの命日である 昨年12月21日に、同時に世に問われた土田知則さん(千葉大学教授。専門:文学理論)、 そして、著書『ニュー・アメリカニズム』(青土社)等でド・マンに一貫して言及してこられた 巽孝之さん(慶應義塾大学教授。専門:アメリカ文学)をお招きし、 ド・マン・ルネサンスへ向けて存分に語って頂きます。 日本では柄谷行人氏、水村美苗氏らに深く影響を与えた人物として知られ
織田信長は英雄か否か。歴史書出版の雄・吉川弘文館の名物シリーズ「人物叢書」が、「等身大の織田信長」の姿を明らかにすべく世に問うたのが、今回の記事で取り上げる『人物叢書 織田信長』。 その残虐性ゆえに道徳的に評価は分かれるかもしれないが、「織田信長は英雄だ」ということは現在ではほとんど自明のことだろう。「歴史上の偉人のなかで、尊敬する人物は?」という質問に対して、織田信長の名前を挙げる人も少なくない。しかし本書の著者である池上裕子は、残された史料を検証しながら「私は織田信長を英雄視しない」ときっぱり言い切る。 信長は、現在の愛知県の西部にあたる尾張国の大名・織田信秀の息子として生まれた。父である信秀の葬儀に際して、「抹香を掴んで遺影に投げつける」という蛮行に及んだことは有名なエピソードだろう。 本書では、織田家の家督を継いでからの信長の半生を追いながら、等身大の信長の姿を描き出そうとする。
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