平安時代の武将渡辺綱と羅城門の鬼(茨木童子)の一騎打ちが描かれた錦絵です。羅城門に鬼が棲むという噂を聞いた綱は、真偽を確かめるため、見に来た印となる「禁札」を持ってやって来ました。夜の闇に包まれ、物凄い風雨に見舞われるなか、羅城門の下でまさに綱が鬼と出くわした決定的瞬間が描かれています。この後、綱は太刀を抜いて切り掛かり、鬼は鉄杖を振り上げ、激しい戦いとなります。 謡曲「羅生門」によれば、鬼は綱に組みつきましたが、逆に綱の払う刀に腕を切り落とされました。しかし鬼はひるむことなく、空に向かって飛び上がり、「切られた腕を取り返す」と言って黒雲の中に消えました。この勝負は綱が勝利し、謡曲の作者は、綱は鬼よりも恐ろしいとその武勇を称えています。 本資料は上下縦長の画面いっぱいに描かれているため、一枚摺りの錦絵や版本とは違う迫力を生み出しています。綱と鬼の形相、斜めから降りかかる驟(しゅう)雨(う)
![「羅城門渡辺綱鬼腕斬之図」月岡芳年画 | コレクション | 印刷博物館 Printing Museum, Tokyo](https://cdn-ak-scissors.b.st-hatena.com/image/square/ce928369810c311a7850205ede841e5fc0652e42/height=288;version=1;width=512/https%3A%2F%2Fwww.printing-museum.org%2Fassets%2Fimg%2Fcommon%2Fogp.jpg)