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ブックマーク / agora-web.jp (11)

  • オリンパス問題の本質

    オリンパスについて書かねばなるまい。 オリンパスの事件は、一部で予想された通り、粉飾問題に発展した。何か裏がなくては、あの異常なM&A助言手数料、価値のほとんどない国内三企業の高値買収は説明できない。 だから、昨日の記者会見で、ようやく全貌が明らかになった、というところだと認識されている。 しかし、私には全く理解できない点が残っている。いやより重要な問題が残っている。 それは、そもそも、なぜ損失を先送りするために、隠そうとしたのか。そして、それをなぜ継続をしたのか。さらに、あそこまで、企業の根源を揺るがすまでに業そのものに絡めて粉飾しようとしたのか。 オリンパス問題を日の問題にはしたくないが、オリンパスやその経営陣の資質、あるいは助言をした人々の資質による問題だけでもない。 そこが解決しない限り、この問題は、形を変えて、日に何度でも現れることだろう。そして、それはエンロンで見られたよ

    オリンパス問題の本質
  • 香港を基点とした中国ビジネスモデル - 石水 智尚

    関電の15%節電は、各方面へ大きなインパクトを与えたようです。以降、ブログやメールニュースなどで評論家の方々が、国内企業が日脱出する可能性に言及するようになりました。5月に日へ帰省した時に、四国のデータセンターへ機材を販売している知人から、関東にある大量のサーバー類を松山などのデータセンターへ移転させる大口の引き合いが増えたと聞きました。それがいまや西日を飛び越えて海外へ出て行こうとしています。電力供給の不安はあらゆる産業にとって大きな問題という事なのでしょう。 小谷まなぶさんはアゴラ記事で「中国やアジア進出する際の、窓口会社として香港法人を活用する日人経営者が今、増えています」と述べています。筆者のところにもこのような問合せが来るようになりました。香港は、商業都市として、また物流中継地として発達してきましたが、リーマンショック以降は世界一の消費市場である中国内地の「入口」としての

    香港を基点とした中国ビジネスモデル - 石水 智尚
  • 会社分割の乱用は、日本型ファイナンスへのアンチテーゼである

    2月17日の福岡地裁判決は、パチンコ店経営会社がおこなった会社分割が乱用的であるとした整理回収機構(RCC)の訴えをほぼ全面的に認め、同社に対し約6億4000万円の支払いを命じる判決を下した。この判決は、昨今相次ぐ会社分割の乱用に対する司法判断として重要な先例であり、昨年5月の東京地裁判決に続き注目されている。 会社分割による企業再建につき、一般の理解を促すために簡略化すると、下図のようになる。 要するにこれは、融資を受けた金融機関への債務を分割会社Aに置き去りにして、採算事業を会社分割により切り離し、負債の軽い新設会社A’で運営するという企業再建手法なのだ。中小企業の場合、代表者のほとんどは金融機関への債務の連帯保証をしているが、個人として破産や民事再生など一定のサンクションを覚悟さえすれば、事実上、企業としては借金の棒引きを成しうる。この制度は、90年代にゾンビ企業の延命で遅れた金融機

    会社分割の乱用は、日本型ファイナンスへのアンチテーゼである
  • 財政破綻に備えた資産防衛を考える時なのか

    財政破綻のシナリオが公然と語られ始めている。しかしながら、「ジャパンアズナンバーワン」など日を賞賛する声にうぬぼれ、長年続いた「GDP世界第2位」といった経済的地位にあぐらをかき、「平和ボケ」した国民の間に危機感はいまだ浸透せず、むしろ財政破綻論を「オオカミ少年」と嘲笑する声も絶えない。 政治も、歳入の約4割を占める赤字国債の発行に必要な「公債特例法」を中心とした予算関連法案の否決が現実味を帯びても、なお政争に明け暮れ、危機感が微塵も感じられない。このようななか、財政破綻はもはや避けられない既成事実なのであろうか。 財政危機が表面化すれば、国債価格の下落(=金利上昇)を通じて、国債を大量に抱える金融機関への打撃は極めて大きく、金融恐慌とも呼べる大不況が日に襲い掛かり、戦後最大の危機が到来するだろう。 そのなか、銀行、証券会社、生命保険会社の経営破綻時の預金者、投資家などの保護制度はどの

    財政破綻に備えた資産防衛を考える時なのか
  • 長期金利上昇時の金融機関への打撃

    最近、長期金利の上昇がたびたびニュースとなっている。よくよく考えると、金利の上昇幅は“たった”0.1%、0.2%である。金利の上昇に一喜一憂するのではなく、“たった”0.1%、0.2%の上昇でも、ニュースにせざるを得ない状況に日が置かれてしまっているということを理解することが何よりも重要だ。 1%、2%でも金利が上昇すれば日はどうなってしまうのだろうか。ここまで国債の発行残高が膨らみ、金融機関が大量の国債を保有している現状を考えると、現在、1%台前半で推移する長期金利が“たった”2%台に乗っただけで大騒ぎとなるだろう。 債券と利回りの関係は逆であることから、金利が上昇すれば債券価格は下落する。当然、大量の国債を保有している金融機関は損失を生むことになる。「債務管理レポート2010」(P94)によると、2009年12月時点(速報)で国債発行残高682.7兆円のうち、銀行等254.1兆円(

    長期金利上昇時の金融機関への打撃
  • 林原の会社更生法適用申請に見る再生法制度の狭間

    2月2日、岡山の林原が東京地裁に会社更生法の適用を申請した。林原は、甘味料「トレハロース」の世界生産をほぼ全量担っているバイオテクノロジー開発企業であり、多くの特許を持つ。そして同社は、研究期間が長期に渡るバイオ研究に馴染まないとして、これまで一貫して上場に否定的だった。非上場による資金調達力の不足を補ってきたのは、岡山駅近くの一等地に所有する広大な土地が生み出す利益と含み益であり、この経営方針はバブル崩壊までは順風満帆だった。しかし、不動産価格の下落や、長期投資型の研究開発費や不動産への過剰投資は収益を圧迫し、昨年には金融機関が融資に慎重な姿勢を見せはじめ、資金繰りに窮した。 会社更生法適用申請に至る経緯として、昨年12月からは、私的整理の一手法である事業再生ADR(裁判外紛争解決)による再建を模索し、金融機関に対して総額1,318億円にのぼる債務のうち215億円分を5年間の分割弁済、2

    林原の会社更生法適用申請に見る再生法制度の狭間
  • 通信料金はどのようにして決まるのか?

    12月28日付の日経新聞の5面に「携帯接続料を透明化 - 通話料下げ狙う」と題する大きな記事が掲載された。記事の内容には間違っているところはないが、通信事業についてよく知らない人がざっと読み流してしまうと、誤解する恐れが多分にある。従って、これを機会に、多くの人達に通信事業の特異性を認識し、通信料金がどういうメカニズムで決まるのかを正しく理解して頂く事は、「利用者の立場から、今後の通信行政を厳しく監視して頂く」為にも、極めて有意義だと思い、この長文の解説記事を書く事にした。 一般に、物の値段というものは、売り手が、自らのビジネスを存続・拡大させる為に、自ら考えて決める。競争に打ち勝つためには値段を下げねばならないが、下げすぎると利益が上がらず、事業を継続することが出来なくなる。「価格 X 販売量」が「収入」であり、これからコストを引いたものが「利益」になる。従って、一定の「利益」を確保する

    通信料金はどのようにして決まるのか?
  • やさしい「財政ファイナンス」の話

    来月初めのFOMCで米国連邦準備理事会が、新たな長期国債買い取りプログラムを導入すると見込まれており、そうしたプログラムの導入をQE2(Quantitative Easing ver.2、量的緩和第2弾)と呼ぶようになっている。このことは、小幡績氏が書いているように、「量的緩和」という言葉が一人歩きをしはじめ、拡散した意味合いでもちいられるようになってきていることを示している。 しかし、中央銀行による国債買い取りには、2つの基的に異なったケースがあることは正しく認識しておく必要がある。日銀行がいわゆる「銀行券ルール」にこだわっているのも、これら2つのケースの違いを意識しているからであろう。2つのケースの違いについては、多くの人達に是非知っておいてほしいと思うので、改めて解説しておきたい。 最も単純化したケースについて、政府と中央銀行、そして民間部門のバランスシートの関係をイメージ的に示

  • 腹が満ちては戦にならず - 小飼弾

    Guy Kawasakiの記事にうなづきっぱなしだったので。 Why Too Much Money is Worse than Too Little : The World :: American Express OPEN Forum Kawasakiは同記事で、資金過多が資金不足より性悪な理由を六つあげている。以下、見出しだけ借りて、あとは私自身の言葉で言い直すことにしよう。 1. 支出が財源が許すまで膨張する – Expenses expand to the level of funding. お役所を見ればそうなることはよくわかるが、これはお役所の専売特許ではない。手元に500円しかなければ500円の昼で満足していたものが、5,000円あると5,000円の昼を注文してはいないか? 2. 誤った安心感がもたらされる – Money creates a false sense of

    腹が満ちては戦にならず - 小飼弾
  • なぜJALは「99%減資」を選択しなかったのか?- 磯崎哲也

    航空(JAL)の再建が上場廃止して会社更生法を適用する方向性に定まって来た。今週のJALの株価も、これを受けて1株10円以下で推移している。 JALの株式は株主優待を目的とした個人株主も多いため、JALの減資は100%未満にとどめ、上場も維持するべきだという意見もあったようだ。 また1月10日のBLOGOSでも、自民党所属の前衆議院議員で弁護士の早川忠孝氏が書かれた「日航空の100パーセント減資までは必要ない」という記事が掲載されて、ネットでも話題になっていた。 つまり、これらの方々は「株主の権利もほんの少しだけ残してやれないのか?」とおっしゃりたいのだと思う。 みなさんも、「確かに株主の権利も少しぐらいは残してあげてもいいのでは」という気もするのではないだろうか? では、JALはなぜこの方法での再生を選択しなかったのだろうか? そもそも「減資」とは何だろうか? おそらく世間の99%

    なぜJALは「99%減資」を選択しなかったのか?- 磯崎哲也
  • 1990年代後半の韓国経済の激動から学ぶもの? - 松本徹三

    最近、思うところがあって、韓国の現代史を少し勉強しています。その目的は、同国における高速インターネットの普及が、2002年の盧武鉉大統領の選出と2004年の同大統領の弾劾に対する反対運動に、「どのような経緯を経て、どのような影響を与えたか」を知ることでした。しかし、その事は、後日のテーマとして取り上げるとして、今日は、その過程で知った「1990年代後半の韓国経済の激動」について考えてみたいと思います。 韓国の経済は、内戦後の混乱期の後、朴正煕 全斗煥両大統領の軍独裁の強権政治の下で、民主主義を犠牲にする形で成長を遂げ、1986年には経済成長率12.9%、国際収支の黒字46億ドルを達成、そのダイナミズムは「漢江の奇跡」と囃されて、欧米諸国での「開発経済学」による解明の対象にもなりました。 ソウルオリンピックを1年後に控えた1987年に勃発した「6月抗争」は、韓国の現代史においても特記されるべ

    1990年代後半の韓国経済の激動から学ぶもの? - 松本徹三
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