待望の再プレス! ブラームス:交響曲全集 マゼール&クリーヴランド管弦楽団 英デッカによって収録されたこの交響曲全集は、マゼールのクリーヴランド管音楽監督時代[1972~82]を代表する傑作。 演奏は、この時期のマゼールならではの緻密な音響と、徹底的に追求されたフォルムの美感や、細部に至るまで掘り起こされる音楽情報の豊富さが印象的なものです。特に、常に克明な拍節感をもって提示される低弦の響きがもたらす、古典的とさえいいたくなる軽快な構造性には、情緒派の演奏とは対照的なマゼールのブラームス観が如実に伺われます。 実際、書法が緊密な第3番と第4番におけるマゼールの手腕の冴えは見事なもので、ブラームス円熟期の凝った仕掛けをくまなくフォローして聴きぎたえがありますし、第1番では、両端楽章のブロック構造を明確に描き分けることによって、この交響曲独自の複合的な構造の面白さをも雄弁に示してしまうあたりさ