【25周年記念特別寄稿】 異例の情報公開、紛争の全貌が白日の下に 当時の編集長が初めて明かす 「IBM・富士通紛争」徹底報道の舞台裏・第5回 AAA(米国仲裁協会)は1987年9月、米IBMと富士通の紛争の背景・経緯・調停の考え方を詳述した資料を公開した。異例の情報公開により、両社の論点がすべて明らかになった。IBM・富士通の知的財産権問題を追い続けた日経コンピュータの松崎稔・元編集長が入り組んだ問題を整理、総括する。 AAA(米国仲裁協会)による1987年9月15日の発表は極めて異例なものであった。本来、仲裁は非公開であるにも関わらず、最終裁定に先立って調停の経緯を公表した。しかも16日には、日米衛星通信によるテレビ記者会見まで開かれた。発表された内容は、前回述べたように、IBM・富士通紛争に関する「意見書」と「命令」であった。 AAAが異例の早期公表をした背景には、IBM・富士通紛争の