本来、お嬢さまは、人をけなすようなことはなさらないものでございます。けなすことばというのは、たいてい耳障りで響きが美しくなく、品性に欠けるもので、お嬢さまにはふさわしくないからでございます。 「お子さん」を「お子さま」、「息子さん」を「おぼっちゃま」あるいは「ご子息さま」、「妹さん」を「お妹さま」など、目下のお身内の方にまで「さま」をつけると、お嬢さまらしくなります。 つかい方を間違えますと、ただの「お高く止まった方」という印象を与えかねません。第一の心得は、「お嬢さまことばは、自分を高めるためではなく、相手を高めるために用いる」ということでございます。 ファッションセンスの基本がふだん着にあるように、ことばづかいの基本は、ふだんの家族との会話の中で養われます。そして、その家族の会話は住まいの空間のデザインによって養われます。 【あなたさま】 あなたさまは、どなたかをこのようにはお呼びにな