Ⅳ.日本の両院制のあり方−−制度改革の方向性 すでに述べたように、本稿では法律・規則・慣行レベルでの制度改革を中心に提案することとし、憲法改正については方向性のみ簡略に提示する。すなわち、図2などにある二院制の諸類型のうちどの類型の機能を日本の衆参両院は担っていくべきかを考えた上、それに必要な制度改革を法律・慣行レベルで具体的に提案する。 図2:リップハルト(2012)の二院制の類型 1.改革の全般的な方向性 図2の中でリップハルトは日本を第Ⅱ象限の「中間的に強い二院制」に分類した。しかし過去の研究やシミュレーション結果が示唆するように、第Ⅱ象限の二院制は、二院制のプラス面を十分に取り込むことができない。両院の構成が似通えば、たとえ両院の権限が同等レベルであっても、冗長(redundant)で「カーボンコピー」的な存在にしかならないからだ(McCarty & Cutrone 2008)。よ
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