紙とペンを借りるとステファノはペンを走らせた。 「これが盗賊の頭領です」 簡単な線画であったが、特徴をよく捉えていた。 「間違いないか?」 衛兵長はまだ疑っていた。 「似ているな」 クリードが呟いた。 「俺の目の前で喉を突いて死んだ男に間違いない」 直接戦ったクリードが言うことである。ようやく衛兵長も真剣になった。 「待て。よく見せてみろ」 衛兵長は似顔絵を引ったくると、目の前に掲げた。 「この顔――見覚えがあるぞ。おい! 手配書の束を持って来い!」 「はっ!」 副官が急いで手配書を取りに行った。 「こいつはとんだ大手柄かもしれんぞ」 「旦那、あいつがお尋ね者だったってことですかい?」 ダールが尋ねた。 「多分な。私が覚えているくらいだ。大物のはずだ」 「あれは人を斬り慣れた奴だった」 クリードが思い出すように言った。 戻って来た副官は、手配書の束を衛兵長に渡した。 「こちらであります」