ここ数カ月で医療者の間で頻繁に話題になっている流行語が「直美」です。「なおみ」でも「じかび」でもなく「ちょくび」と読みます。医学部を卒業し、2年間の初期研修を終えた後、従来の後期研修には進まずにすぐに美容医療界に転職する医師たちのことです。言葉の起源ははっきりしませんが、「通常なら当然経験すべき後期研修を受けずに直接美容業界に飛び込む」ことから誰かがそう名付けたのでしょう。先日、当院に研修に来ていた2年目の研修医も春から美容クリニックに就職が決まっていると言っていました。私のごく身近なところにも「直美」がいたのです。もちろん「直美」に対する医療界からの批判は小さくありません。しかしそのような多大な批判があることを承知で「直美」を目指す若い医師が大勢いるのも事実です。そこで今回は「直美」の問題を整理し、国民は「直美」を信用していいのか否かを考えてみたいと思います。 修練せぬまま、大量流出 ま
海面から突き出る、海底炭鉱「長生炭鉱」につながる円筒「ピーヤ」。調査初日はピーヤからダイバーが潜水して、内部を調べた=山口県宇部市で2024年10月29日、小型無人機で後藤由耶撮影 10月30日、山口県宇部市の海岸付近に約30人の報道関係者や市民らが集まり、海底炭鉱に続く横穴からダイバーが戻る瞬間を待った。 第二次世界大戦中の1942年に起きた水没事故で朝鮮人と日本人の労働者計183人が亡くなった海底炭鉱「長生(ちょうせい)炭鉱」。事故から82年を経て、地元の市民団体「長生炭鉱の水非常(みずひじょう)を歴史に刻む会」が29、30両日、残されたままの遺骨収容に向けた潜水調査を実施した。 関連記事 戦時中の炭鉱犠牲者に国「戦没者ではない」 民間軽視を象徴か 7割が朝鮮半島出身、調査せずに「国際的な批判」の懸念も 海岸付近には9月下旬の掘削作業の結果、地下約4メートルで見つかった坑口(坑道への出
南米ベネズエラ大統領選は7月末、独裁色を強める反米左派マドゥロ大統領の「当選」を選挙管理委員会が発表した。ベネズエラ大統領選の結果と今後について坂口安紀・アジア経済研究所主任調査研究員に聞いた。 ベネズエラで合わせて25年もの間政権を握るチャベス前大統領と後継のマドゥロ大統領は、法律や制度を軽視し、権力を集中させ、すべての国家権力を手中におさめた。形ばかりの選挙を実施するものの、民主主義がじわじわと「溶解」し、権威主義へと変容していった。 今回の大統領選挙を理解する上で重要な点が二つある。選挙管理委員会や最高裁判所が政権の支配下にあるということ、そして選挙では自動投票・集計システムが使われるということだ。このシステムが導入された約20年前にはこのシステムに不信感を募らせ選挙をボイコットしたこともある反政府派だが、今回の選挙ではこのシステムを逆手にとって、自らの勝利を立証してみせた。マドゥロ
この春、インターネット上のある学術出版社のサイトが「怪しすぎる」と研究者の間で話題になった。本拠地を「北海道」と称し、日本の研究者に論文投稿を呼びかけているのだが、論文は一本も掲載されていない。 記者(鳥井)は長年、「ハゲタカジャーナル」と呼ばれる粗悪な学術誌の横行を取材してきた。査読(論文の内容チェック)もそこそこに、研究者から受け取る掲載料を目当てにした悪質なビジネスだ。 ピンときた。このサイトはもしや、これから羽ばたかんとするハゲタカ誌の「卵」なのでは――。サイト運営者は「私たちは学術誌の出版社です。原稿投稿をご招待いたします」と、おそらくは機械翻訳であろう日本語を使っていた。調べてみると、海外のある人物にたどり着いた。 函館、新宿、ラスベガス。運営元を探し、たどり着いた先のてん末は記事後半で 「科学的および研究情報の発展に焦点を置く、先駆的な拠点です。私たちと一緒に発見の航海に乗り
2年前、1人の自民党国会議員がその職を追われた。 政治資金パーティーの収入を何年にもわたって裏金に回し、政治資金規正法違反(不記載・虚偽記載)の疑いで東京地検特捜部の捜査を受けたのがきっかけだった。 その後に立件された政治資金収支報告書への不記載額は3年間で計約4900万円。略式起訴された薗浦健太郎元衆院議員(52)=2022年12月に議員辞職=に罰金100万円、公民権3年間停止の処分が科せられた。 薗浦氏の秘書(当時、以下同じ)は捜査のなかで、裏金作りに走った理由をこう供述した。 「表に出さない選挙資金のためだった」 いったい選挙の何に、裏金は必要だったのか。 特捜部の調書にあった供述 衆院解散に伴う総選挙が15日公示、27日投開票の日程で行われる。有権者の関心を集めるのが、自民の「裏金問題」だ。 薗浦氏の場合は自身の政治資金パーティーに関する裏金だったが、その後、自民の複数の派閥でもパ
鉛筆が入り込まないように開口部を高く設計した「NECクロームブックY4」=東京都港区で2024年10月3日、安藤龍朗撮影 NECは3日、学校向けノートパソコンの新機種「NECクロームブックY4」を発売した。床に落とす、鉛筆を突っ込む、砂場に埋める――。そんな小学生にありがちな機器トラブルにも耐えられるよう、頑丈で壊れにくく改良した。 教育現場に配備された端末を巡っては、思わぬ故障も続出。企画したNECパーソナルコンピュータ商品企画グループの石井宏幸グループマネージャーは「壊れたパソコンを分解したら砂が出てきたことがあって、『どうも砂場に埋めたらしい』と聞きました」と語る。精密機器に対する大人の常識は、小学生には通用しないと痛感したという。 NECによると、教育現場で発生した故障の原因の大半は「落下」だという。2021年4月~23年8月、NECパーソナルコンピュータの工場で扱った修理約1万2
青森県中泊町の旧家・宮越家が所蔵するふすま絵が、英国の大英博物館所蔵の作品と同一の作者によって描かれた一対のものであることが判明した。町教育委員会が17日発表した。室町時代から約400年続いた日本画の絵師集団「狩野派」に属する絵師が描いたことが明らかになり、町は「極めて貴重な文化財で、絵画史研究に大きな進展をもたらす」としている。 調査結果が公表されたふすま絵は、江戸時代から地元の豪農として知られた宮越家の9代目・宮越正治氏が1920年に妻のために建てた離れに飾られていた「花鳥図」「竹図」「風俗山水図」の3組計18枚。 2023年から調査にあたった狩野派研究者で元京都国立博物館主任研究員の山下善也さん(65)は記者会見で、18枚のうち花鳥図の4枚について「画風や図柄の連続性などから、大英博物館が所蔵している花鳥図とつながる8枚の作品であるとみてよい」と説明した。
新著『人類の会話のための哲学』で米哲学者リチャード・ローティに現代の光を当てた言語哲学者の朱喜哲さん=大阪市天王寺区で2024年6月27日、村田貴司撮影 2016年、米大統領選でドナルド・トランプ氏が当選した。その18年前、彼のような人物の登場を予言した男がいた。 米哲学者リチャード・ローティ(1931~2007年)だ。 「よりよい社会を営むためにどんな言葉を使うべきか」を考えたローティの仕事は、強い言葉があふれる今、改めて注目されている。 ローティの哲学は、今この時代にどんなヒントを与えてくれるのか。新著『人類の会話のための哲学』(よはく舎)でその思想に現代の光を当てた言語哲学者、朱喜哲(ちゅひちょる)さん(38)に聞いた。 朱喜哲さんにローティの思想を聞きました(全2回の前編) 後編・「人権」は役立たない? ヘイトスピーチ、虐殺…言葉の害悪とは <前編の主な内容> ・人をあおり虐殺も招
日本の霊長類研究を憂う元京都大霊長類研究所長の杉山幸丸名誉教授=愛知県犬山市で2024年6月13日午前11時46分、川瀬慎一朗撮影 国内外の霊長類研究をリードしてきた研究施設「京都大霊長類研究所」(愛知県犬山市)。研究費不正問題で2021年度末に“解体”されるまでの経緯をまとめた論文が、かつて所属した研究者らにより発表された。責任著者で元所長の杉山幸丸・京大名誉教授(89)=霊長類生態学=は「日本科学史の汚点だからこそ、しっかり記録しなければならない」と話している。 杉山氏らがまとめた論文「霊長類研究所解体の経緯を考える」は、霊長研が消滅するまでの経緯を裁判記録や公的資料を精査し、分析している。4月に科学技術振興機構(JST)が開設するサイトで公開したほか、海外研究者の注目も高いため6月には国際霊長類学会の学会誌(ウェブ版)にも掲載した。 霊長研は1967年に設立され、野外研究と実験室研究
中国上海市に隣接する江蘇省蘇州市で、日本人学校のスクールバスが刃物を持った男性に襲撃された事件を巡り、中国のIT大手各社が、ネット交流サービス(SNS)への反日的な投稿などの規制を進めている。各社がこうした取り組みを公表するのは異例で、極端な排外主義の伸長を警戒する中国当局の指導が入った可能性がある。 蘇州で6月24日に起きた襲撃事件では、日本人の母子らが負傷した。犯行を止めようとした中国人女性は2日後に亡くなり、日中両国から追悼の声が上がっている。ただ、中国のSNSでは当初、日本人母子らを助けたこの女性を中傷したり、過激な日本排斥論を訴えたりする投稿があったことから、当局が対応に乗り出した模様だ。
ある中小企業が突然、不正輸出のぬれぎぬを着せられました。 捜査した公安警察の手法に疑念が持たれています。 その内幕を明らかにしようと、記者は追跡を続けました。 約1年にわたる取材録をつづります。 連載「追跡 公安捜査」は全10回です。 このほかのラインアップは次の通りです。 第1回 「公安は同じことやる」大川原化工機事件、捜査員が私に語った警告 第2回 公園の植え込みに潜む秘密資料を「拾った」私 まるでスパイ映画 第3回 中小企業はなぜ狙われたのか 私が感じた公安警察の「異質さ」 第4回 「なら有罪だね」弁護士の思わぬ一言、残された社員の心に火がついた 第5回 「私は公安に利用された」 ただ一人、匿名望んだ小児科医の後悔 第6回 公安の聴取あったのか 私の直撃に答えた社長、4日後の態度急変 第7回 他社のスクープに「やられた…」 つかめなかった真実、調査報道の壁 第8回 「ちゃんと調べてく
ある中小企業が突然、不正輸出のぬれぎぬを着せられました。 捜査した公安警察の手法に疑念が持たれています。 その内幕を明らかにしようと、記者は追跡を続けました。 約1年にわたる取材録をつづります。 連載「追跡 公安捜査」は全10回です。 このほかのラインアップは次の通りです。 第1回 「公安は同じことやる」大川原化工機事件、捜査員が私に語った警告 第2回 公園の植え込みに潜む秘密資料を「拾った」私 まるでスパイ映画 第4回「残された社員の奮闘」 第5回「『利用された』医師の後悔」 第6回「公安の聴取はあったのか」 第7回「調査報道の壁」 第8回「警部補たち異例の直訴」 第9回「長官狙撃事件との共通点」 第10回「正義のありか」 カップラーメンのスープの粉やインスタントコーヒーの粉末、粉ミルク……。 生活に身近な製品が、噴霧乾燥器で製造されていることはあまり知られていない。 化学機械メーカー「
国際的な賞を受賞し、喜びを語るゲーム音楽作曲家の下村陽子さん=東京都新宿区で2024年5月14日、三浦研吾撮影 「ストリートファイターⅡ」、「スーパーマリオRPG」、「キングダム ハーツ」シリーズ、「ファイナルファンタジーⅩⅤ」――。大人気ゲームの音楽を手がけてきたのがゲーム音楽作曲家・下村陽子さんだ。日本が誇るコンテンツ産業の一角で、30年以上の長きにわたって活躍してきたことが評価され、今春、ゲームクリエーターらに贈られる国際的な賞を受賞した。ゲーム音楽を作り続ける下村さんが大切にしていることとは。【聞き手・西本龍太朗】 日本人8人目、1000人超が喝采 ――3月に米サンフランシスコで開催された「ゲーム開発者会議」(GDC、1988年創設)で、優れたクリエーターや作品(タイトル)を表彰する「ゲーム・デベロッパーズ・チョイス・アワード」の一部門「生涯功労賞」を受賞しました。 下村さん 本当
水俣病患者らでつくる団体との懇談で、水俣病患者連合の松崎重光副会長(右手前)の話を聞く伊藤信太郎環境相(左奥)=熊本県水俣市で2024年5月1日午後4時34分、吉田航太撮影 水俣病患者・被害者らと伊藤信太郎環境相との懇談時に環境省職員が被害者らの発言を制止した問題を巡り、被害者団体側に「3分間の持ち時間を守らないのがおかしい」などと批判する電話やメールが9日までに少なくとも5件あったことが10日、明らかになった。 関係者によると、電話やメールは9日にあり、「ルールを無視した被害者側が大臣に謝るべきだ…
古文書からは一揆後も国人たちがやり取りを続け、つながりが残っていたことがうかがえる=京都府庁で2024年4月2日午後3時3分、中島怜子撮影 戦国時代、自治に初めて成功したとされる「山城国一揆(やましろのくにいっき)」(1485~93年)に関する古文書が大量に見つかった。一揆の原動力となった国人(地方在住の武士)らのやり取りが克明に記された新出史料。詳しい分析はこれからだが、専門家は「将来、教科書の記述が変わる可能性もある」とみている。 見つかったのは一揆で中心的役割を担った椿井(つばい)家に伝わる書状の写し124通。馬部隆弘・中京大教授が2021年、奈良県平群町教育委員会に所蔵されていた大量の古文書を見つけた。3年かけて調査し、椿井家の関連文書と特定した。室町・戦国期の書状を江戸時代の子孫が写したものとみられ、京都市東山区の八坂神社に残る原本7通と内容が共通していることから、本物と確認した
盗難被害にあった秩父鉄道の大麻生車両区。枕木の壁は破壊され、ロープなどで応急措置が施されていた=埼玉県熊谷市内で2024年3月6日、隈元浩彦撮影 秩父鉄道(本社・埼玉県熊谷市)の大麻生車両区(同市大麻生、通称・広瀬川原車両基地)から鉄製車輪76枚が盗まれていたことが6日、明らかになった。同社は埼玉県警熊谷署に盗難届を出した。鉄スクラップの価格高騰を背景に、県内では水道メーターなど金属製品が盗まれる被害が頻発している。【隈元浩彦、安達恒太郎】 同社によると、4日朝に出勤した社員が、屋外の隅に積み上げていた廃棄予定の車輪がなくなっていることに気づいた。車輪は直径約78センチ、重さ約270キロ。木枠で4枚ずつ梱包(こんぽう)され、置かれていた。 道路と面した部分は、古い枕木を高さ約1メートルまで重ねて壁にしていたが、幅約5メートルにわたって破壊されていた。車輪は一つ当たり1トンを超える梱包ごとな
宮崎市の宮交ボタニックガーデン青島(県立青島亜熱帯植物園)学習室で1日から、変わった特徴を持つ植物の種を紹介する「おもしろいタネの展示会」が開かれる。貴重で不思議な形状の種など約60種を展示する。入場無料。 園によると、姉妹園のシンガポール植物園から寄贈された「モンキーポッド」は実をサルが好むこと…
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