【旅立ちの日】 何の変哲も無い国境付近に位置する辺境の村ナサハ その村の人口は500人を超えたことはなく、そこに住む人々の大半は 農業を営むことによって生計を立て、慎ましくも細々と生きていた。 有体に言えば、みな地味で鄙びた生活を送っていたのだ。 そのため、村に住む若者達は変化無く、この緩慢に死にゆく日々に耐えられなくなり、 刺激的な日々を都会での生活に求めて、この村を後にすることも少なくはなかった。 もっとも、その殆どは10年も経たぬ内に夢破れ、錦を飾ることもなく、 故郷に逃げ返るように戻り、村を出る前と同じ生活を営むことが多かったが。 だが、そのような多くの挫折と失敗談は、遥先の幻想を追い求める若者達の 耳には入らず、その目には映りはしない。 彼等に聞こえるのは輝かしい成功談、 彼等に見えるのは栄光を掴む己の未来の姿だけなのだから・・・ そんな、少なくない夢見る若者達を見つめながら育っ
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