焼け付いた雲が空を占める。世界は紅く、鉄臭い。まるで血で満ちているように。広がる荒涼とした大地は余地なく屍に覆われ、幾万もの亡者たちが生者を呪う。時おりリンが燃える青みがかった炎が彼らの身体を焼いては、その叫びはいっそう憎悪にあふれるものとなった。 その様子はさながら地獄。神はタルタロスの門を開いたのか。幾千ものネビームたちが予言した最後の時が訪れたのか。真実は神ならぬ身にはわからない。されど、そう間違うほどの凄惨にして荘厳な世界が広がっていた。 少年はその光景をどこかから見ていた。それはさながら超越者の視点のようで、どこを見てもピントがぼやけたりすることはない。少年の視界いっぱいにうごめく亡者や紅い空が広がる。 「なんだよこれ……。何なんだよ!」 本能的な恐怖と不安に掻き乱される少年の頭脳と魂。彼はわけもわからずに叫び、もがく。理性はふわふわと飛んでいってしまったようで、その姿はさながら