2017年10月18日付 中外日報(社説) 「マインドフルネス」が流行っている。これは要するに坐禅から宗教性を取り除いた瞑想で、精神安定上効果があるという。 宗教的な生き方から宗教性を除去して一般化した例は過去にもある。セーレン・キルケゴールは市民的文化となっていた当時のキリスト教を批判して、キリスト者は単独者として自覚的に信仰へと決断し、真理の証人として苦難を負って生きるものだと主張した。市民的一般性に埋没しない自覚的な主体性を説いたわけである。 20世紀になって「単独者の主体的決断」はいわゆる実存主義の源流の一つとなり、「汝自身であれ」という合言葉を生んだ。やがて実存主義はキリスト教性を失って哲学的となり、さらに無神論的にもなって、普遍的人間性を選び取る方向と「例外者」となる方向とに分かれ、さらに一般化して生き方の指針にもなった。 戦後の日本でも「主体性」「自分を見つけよ」「自分自身と
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